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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】アオバ薬局(モイネットシステム)

2016年07月29日 (金)

信頼されるかかりつけ薬剤師に‐自宅や在宅医療現場で端末閲覧

地域密着型の健康相談薬局を目指すアオバ薬局

地域密着型の健康相談薬局を目指すアオバ薬局

 アオバ薬局(豊中市)は今年5月、レセコンや電子薬歴に記録した情報を自宅や在宅医療現場で閲覧したり、記録をつけたりできるタブレットパソコン「おでかけファーミー」を導入した。かかりつけ薬剤師として患者からの問い合わせに24時間しっかり対応するほか、在宅医療への参画を拡大するためのツールとして活用している。院外処方箋の調剤だけでなく、住民の相談を受けて受診を勧奨したり、漢方薬で対応したりするなど地域密着型の健康相談薬局を目指す考えだ。

 昔ながらの商店街が広がる阪急電車庄内駅前から徒歩約10分。住宅地の一角にあるアオバ薬局は地域密着型の面分業に取り組んできた。応需枚数は1日約30枚。隣接する病院からの院外処方箋は全体の半分にとどまり、約80施設から幅広く院外処方箋を応需している。

林氏

林氏

 勤務薬剤師だった林未張氏が2013年に同薬局を買い取り独立した。「以前勤務していた薬局チェーンでは転勤や他店舗の手伝いなどで、一カ所の薬局で患者さんにじっくり関わることが難しかった。患者さん個々にオーダーメイドで対応することを大事にしたいと考えて独立した」と振り返る。

 目指す姿は、かかりつけ薬剤師として地域の健康相談に応じる薬局だ。「患者さんが困っていることについて、薬局で対応できることは全て請け負いたいと思っている」。医療機関では対応しづらい訴えに対応するために独立後、漢方薬の取り扱いを開始した。在宅医療にも参画し現在、個人宅の5人の患者を担当している。

問い合わせに24時間対応

電子薬歴機能を備えたレセコン「ファーミー」(左奥)と、その機能をタブレットパソコンに搭載した「おでかけファーミー」(右手前)

電子薬歴機能を備えたレセコン「ファーミー」(左奥)と、その機能をタブレットパソコンに搭載した「おでかけファーミー」(右手前)

 独立から約3年。目指す薬局像の実現を後押しするツールとして今年5月に導入したのが、モイネットシステムの「おでかけファーミー」だ。これは、コストは大幅に安価ながら電子薬歴機能を備えた同社のレセコン「ファーミー」のオプションとして発売されたもの。携帯性に優れたタブレットパソコンに「ファーミー」の機能を搭載。自宅や在宅医療現場など薬局の外でも、「ファーミー」に蓄積された患者情報や薬歴情報を閲覧したり、記録したりできる。

 「今春からかかりつけ薬剤師制度が始まり、24時間対応が求められるようになった。閉局時に問い合わせを受けた時、手元にしっかりした情報がないと十分な対応はできない」と林氏。「かかりつけ薬剤師の推進を国が掲げるからには取り組まないと生き残れない。24時間対応をしっかりする、在宅医療への参画をもっと増やすという覚悟がある。そこに自分を追い込むために先行投資として購入した」と決意を語る。

縦長のタブレットの画面に、ファーミーの画面が最適化して表示される

縦長のタブレットの画面に、ファーミーの画面が最適化して表示される

 薬局の営業を終えると林氏はファーミーに蓄積されたデータを「おでかけファーミー」に転送する。差分だけを転送するため、データ転送時間は数分で済む。転送後、オフラインの「おでかけモード」にして自宅に携帯し、患者の問い合わせに備える。

 土曜日の午後や日曜日など営業時間外の問い合わせは月に数件ある。以前は、記憶をたどりながら対応しており、内容は薄く踏み込んだ指導は難しかったが、状況は改善した。最近受けたのは「頓服の鎮痛剤を服用しても痛みがおさまらない。どのくらい間隔をあけて飲めばいいのか」という問い合わせ。林氏は「おでかけファーミー」を閲覧し、過去に抱えている問題点や処方された時の状況を確認しながら的確に対応できた。

在宅現場で問題解決を推進

 在宅医療現場にも「おでかけファーミー」を携帯する。残薬確認にレセコンのデータを活用するほか、電子薬歴を閲覧してその患者の薬物療法上のプロブレムを振り返り、解決策を考えている。「手元に薬歴があると問題解決に役立つ関わりを実践しやすくなる」。その場で訪問記録簿などを入力できる機能もある。「できるだけ現場で作業を完結させたい。この機能を活用し、担当する在宅患者さんの数を増やしていきたい」と林氏は話す。

 このほか「おでかけファーミー」には、調剤した薬剤の写真を撮影し処方画面に貼付できる機能がある。この機能は、監査や問い合わせ時の確認に役立つ。さらに「ファーミー」のオプションとしてピッキング監査システムがあり、「コンパクトで扱いやすく、ピッキング内容と処方内容が自動で照合されるため、すぐにミスを発見できる。間違いのない調剤を目指したい」という。

 これらのシステム整備と併行して林氏は今春以降、かかりつけ薬剤師の同意取得を開始した。以前から、複数の医療機関にかかっている患者に対して、1カ所の薬局で薬を管理することの重要性を啓蒙してきた。その患者を対象に声をかけ、ほぼ全てから同意を得ることができた。

 「患者さんは何を目的として薬局に来てくれるのか。愛想が良いとかは今や当たり前のこと。その人が個別に抱えている問題を察して薬局としてどう対処できるかが重要。頼りない薬剤師ではかかりつけになってくれない」と林氏は強調する。今後も理想の薬局を目指して、今以上にシステムを積極的に活用したい考えだ。

アオバ薬局(モイネットシステム)
http://www.moinetsystem.com/



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