厚生労働省の「がん対策推進協議会」(垣添忠生会長)は9日、2011年度がん対策に向けた提案書を、長妻昭厚労相に手渡した。専門・認定看護師、薬剤師等育成配置支援センターの設置や、癌診療連携拠点病院制度の抜本改正、地域がん登録システムの全国整備を重点項目として掲げ、厚労省に対応を要請した。
提案書は、全国の患者や医療従事者の声を集約し、先月とりまとめられた。副題は「みんなでつくるがん対策」で、癌対策へ投入する社会資本の拡大や、政策決定プロセスに患者、現場、地域の参加を求めている。また、予算、診療報酬、制度の3側面を横断する横串の政策パッケージの必要性を強調し、予算措置74項目、診療報酬29項目、制度対応37項目を提言した。
このうち、特に優先度が高い予算事業として9施策を提案。[1]緩和ケア施設支援拡充[2]長期化学療法の医療費助成[3]専門・認定看護師、薬剤師等育成配置支援センター事業[4]副作用・合併症支持療法ガイドライン普及[5]地域がん登録・全国集計活用[6]がんベンチマーキングセンター事業[7]がん総合相談支援[8]がん患者満足度調査[9]サバイバーシップ事業‐‐の緊急実施を求めている。
化学療法に対する医療費助成は、高額療養費の基準を6カ月以上にわたって超える患者の自己負担限度額を、月2万円に引き下げるという提案だ。厚労省の委託事業として、保険者が実施主体となることを想定。化学療法計画書に基づいて適用の可否を保険者が審査し、上限緩和が妥当と判断された患者に認定証を交付し、治療に必要な医療費を医療機関に助成する。
育成配置支援センターは、専門医療従事者の充実とチーム医療促進によって、癌医療の均てん化を図ることが狙い。資格希望者に教育費を支給するほか、医療機関に対し、受講者が不在中に雇用する代替者の人件費を補助する。また、求職者の再教育や雇用調整の機能も持たせる考えも打ち出している。
支持療法ガイドラインは、専門家や患者団体らによる委員会で策定する構想。現場への教育と一般への広報を通じ、ガイドラインの定着も図ることとしている。