
三谷社長
ノバルティスファーマの三谷宏幸社長は8日、都内で開いた記者会見で、抗癌剤「アフィニトール」の新発売、「タシグナ」の適応拡大を受け、昨年は癌領域で国内3位入りを達成したことから、「2015年にはトップを目指したい」と語った。特にアフィニトールを成長ドライバーと位置づけ、腎細胞癌に続き、さらなる適応拡大によって癌領域のトップ企業を狙いたい考えだ。ノバルティスは昨年5製品の上市と6品目の申請を行い、新薬ラッシュが続いている。三谷氏は、15年に新製品比率を約6割まで引き上げ、国内トップグループ入りを目指す方針を示し、「新製品をどう育てていくかが勝負」と課題を語った。
同社日本法人の10年度売上高は、前年度と横ばいの2966億円。新製品の骨吸収抑制剤「ゾメタ」や加齢黄斑変性症治療薬「ルセンティス」が着実に伸長し、新たに2型糖尿病治療薬「エクア」、腎細胞癌治療薬「アフィニトール」、高血圧配合薬「エックスフォージ」など5製品を投入したが、薬価改定で抗癌剤「グリベック」が市場拡大再算定を受けたことなどが響いた。
ただ、癌領域では国内3位入りを達成し、抗癌剤「タシグナ」「アフィニトール」の追加適応申請に成功したことから、さらなる成長によって15年にも癌領域でトップを目指す方針を打ち出した。
特に成長ドライバーと位置づけるのがアフィニトールの適応拡大。既に腎細胞癌治療薬として発売し、昨年12月には神経内分泌腫瘍の適応で申請を行っている。さらに現在、エストロゲン受容体(ER)陽性乳癌、HER2陽性乳癌、胃癌、肝細胞癌、リンパ腫、結節性硬化症の適応拡大に向けた国際共同第III相試験が進められており、組織体制も血液腫瘍と固形腫瘍の2営業部制を導入するなど、癌領域トップ企業への対応を加速させている。三谷氏は「コンスタントな開発パイプラインで量的、質的にもナンバーワンを目指したい」と話した。
昨年5新製品を上市し、新製品ラッシュが続く同社は、昨年1割に達した新製品比率を、15年には6割にまで引き上げたい考え。これら新薬に加え、申請中のアルツハイマー型認知症治療剤「リバスチグミン」、多発性硬化症治療薬「フィンゴリモド」、慢性閉塞性肺疾患治療薬「インダカテロール」などを成長ドライバーに、国内上位入りをうかがう構え。三谷氏は「新製品をどう育てていけるかが勝負」と課題を語った。