厚生労働省経済課は9日、医療機関・薬局への医薬品納入価格の12月取引分妥結率が57・9%だったことを明らかにした。9月分から11・2ポイント上昇したが、前回の薬価改定年度と比べると、2008年12月の81・6%を大きく下回る。流通改善懇談会が緊急提言をまとめる前の07年1月の61・1%とほぼ同水準だ。
薬価制度改革による新薬創出・適応外薬解消等促進加算の試行に伴う対応で、医療機関等の理解を得るまでに時間がかかり、価格交渉のテーブルに着くのが遅れたことが影響した。妥結を急いだことで決算に大打撃を受けた、前回改定後と同じ状況を繰り返したくない卸側の姿勢も要因と見られる。
ただ、経済課は「数字上は緊急提言前に戻ったが、当事者には流通改善の意義を理解してもらっていると思う」と慎重で、「一次売差マイナス是正」「単品単価契約」「早期妥結」の3点のバランスで、流通改善の状況を判断する考えだ。
妥結率が低かったのは、200床以上の病院の35・3%、20店舗以上のチェーン薬局の35・9%。大規模病院ではナショナルセンターや国立病院機構が、概ね100%の妥結を完了しているものの、労災病院、日赤、済生会、厚生連、私大病院が10%に満たない。特に私大病院は2年前の50%超から大きく落ち込んでいる。