
内山部長
ノボ・ノルディスクファーマは、グローバルで統一化した営業支援システム「SELAS」を活用し、MRの情報提供の質強化に取り組んでいる。グローバルで業務プロセスや営業支援システム、業績評価指標を統一化することで、ベストプラクティスを共有。販売に関わる全てのデータを統合し、MRが情報提供を行う基盤を整えた。ノボ日本法人営業本部ビジネスアナリシス部部長の内山幹夫氏は、本紙の取材に対し、「SELASを通じて、MR自身が営業活動のヒントとなる気づきを得て、自らPDCAサイクルを回し、生産性を高められるようにしたい」と話している。
ノボは、それまで各地域で異なっていた業務プロセスや営業支援システム、業績評価指標を、グローバルで統一化を図るため、2007年にSELASプロジェクトを立ち上げた。米オラクルが提供するCRMソリューション「シーベルCRM」と、データ分析システム「オラクル・BI・EE」を組み合わせ、グローバルで単一の営業支援システムを構築。日本国内でも09年2月にプロジェクトをスタートさせ、今年3月に体制を整備した。
SELASでは、売上実績やMR活動、市場施設情報などの最新情報を照会、抽出、分析できるほか、販売に関わる全てのデータが同一システムに統合されているため、ワンストップで対応できるのが特徴。
内山氏は、病院施設によるMRの訪問規制を例に挙げた上で、「訪問回数を重視したMR活動ではなく、情報提供の質強化が重要になる」と強調。その上で、「迅速で的確な情報提供を行うためには、製品の売上をはじめ、様々な情報をリアルタイムに把握・活用していく必要があり、SELASでその環境を整えた」と説明する。
実際、SELASを導入したことで、社員の意思統一が図れるようになり、MRによる訪問計画や活動報告などのレポート入力率が改善し、情報の資産化に成果が出始めているという。内山氏は、「各MRがレポート入力の必要性を理解し、営業現場でビジネスインテリジェンス(BI)に蓄積された情報を、能動的に活用していこうとしている」と手ごたえを語る。
今後は、エリアマネージャーなど管理職向けにコーチングの質を上げる手段として、SELASの機能を強化する方針。内山氏は、「SELASの改良を進め、営業全体の底上げにも貢献したい」と意欲を示している。