多職種連携のもと“訪問指導”を充実‐「かかりつけ薬局」念頭に多様な品揃え

季節に応じた商品が並ぶ窓口・受付
当社が長らく取り組んできた事業は「くすりや」です。その強みを忘れてはいけないと強く意識しています――と語るのは、メディック太陽代表取締役社長の上村宏さん。薬局13店舗のほか、ナーシングホーム、デイサービスセンターなど、新潟県内で医療・介護事業を展開する。このうちメッツ川崎薬局(長岡市、清水健司薬局長)は、約20年前にメディカルタウン内に開設された薬局で、4年前には隣接地に有料老人ホームを開設したのをきっかけに、近隣個宅を含め“訪問指導”にも力を注いでいる。店内には多様なOTC医薬品、セレクト化粧品、介護関係用品、さらには「種」まで揃えている。他店舗等でも、アロマ石鹸のイベントやサプリメント講座の開催など、地域活動も展開している。
介護事業との連携で広がる業務の幅

スタッフの皆さん(後列右から上村社長、清水薬局長)
メディック太陽は1978年に創業、15年前までは調剤薬局以外に新潟県内のホームセンターを中心にインストアのドラッグストアを5~6店舗ほど展開していた。その後、ドラッグストア事業からは撤退し調剤薬局事業中心へと転換、上村さんが同社社長に就任してからは、介護事業にも注力している。
新潟県内に13店舗の薬局を展開する一方、2011年8月にメッツ川崎薬局があるメディカルタウン内に、住宅型有料老人ホーム「ナーシングホームメッツ川崎」を開設。これを機に訪問服薬指導業務を本格的に開始した。正式に居宅療養管理指導料を請求しているのは現状では月に90件ほど、点数算定に至らない訪問を含めると110件、今後も増加する見込みという。
同店舗からの訪問先は主に隣接のナーシングホームメッツ川崎、さらに車で10分程度の介護つき有料老人ホーム「ナーシングホームメッツ中島」および初の他社施設である「ナーシングホーム長岡駅東」の3施設。清水さんをはじめ3人の薬剤師が分担し、訪問・指導を行っている。
施設訪問とはいえ、戸別訪問のため、「大体、1人平均30分くらいかかります。また、以前は大半を私が担当していましたが、いまは後輩が育ってくれたので」と清水さん。さらに現場では連携医療機関等による看取りが増加する中、「通常の訪問とは別に訪問することもあります」という。経験値に合わせ、さらに丁寧な訪問指導が可能になりつつあるようだ。
患者を訪問する日は、その担当者は通常業務から離れ、専念する。基本的に診察翌日の朝から処方箋対応、第三者監査後、昼には訪問。指導後は薬局に戻り「報告書」の作成とドクター等への情報提供・連絡を行う、というのが1日の流れ。
担当医の治療方針確認や関係者間の情報共有が目的だ。薬局2階にケアプランセンター、ヘルパーステーションがあるという立地上の利点を生かし、在宅患者さんを焦点に多職種間で情報共有することが日常になっているという。
多彩な情報踏まえ“先確認”徹底

メッツ川崎薬局と隣接するナーシングホーム(右)
メッツ川崎薬局は、主にメディカルタウン内の内科、整形外科、歯科の患者が中心だが、約30医療機関から処方箋を受け付けている。常勤薬剤師4人とパート1人が1日約130枚の処方箋に対応している。
訪問服薬指導の実施など薬剤師業務の複雑・多様化、さらに医療・医薬品情報が高度化する中で昨年秋以降、東日本メディコムの薬局情報共有システム、「Drugstar Prime(ドラッグスター・プライム)」を全社的に導入した。同店舗では投薬窓口に3台、調剤室に1台と合計4台を導入。“先確認”の徹底による質の担保と調剤業務の効率化に努めている。清水さんは「お薬に関する情報が取り出しやすい点が非常に助かっている。窓口でも、患者さんの問いに対し、パッと調べられる」と語る。

情報の取り出しやすさもメリット
多様な機能の中でも「推定禁忌チェック」機能を特に高く評価する。添付文書の「禁忌」「原則禁忌」欄から禁忌病名を抽出したデータと、「効能・効果」欄から病名を抽出した推測病名データを組み合わせることで禁忌疾患への禁忌薬投与などの矛盾点を見つける機能だが、同店舗を“かかりつけ”として利用する患者が多いだけに、必須機能になっているようだ。
清水さんは「外来では病名を知ることが難しいケースが少なくない。薬の組み合わせで、想定される疾患情報が得られる点も、聞き取りや服薬指導を行う上で助かっている」と指摘。「結果として処方監査や調剤業務全般のスピードが実感として上がっている」と語る。
最後に上村さんは、「今後も介護事業の開発も進めますが、創業以来取り組んできた「くすりや」というわれわれの強みを生かし、医療介護を連携させた開発を行っていきたい」という。OTC医薬品の物流拠点を三条市のメッツ薬局に置き、各店舗へ配送している。OTC医薬品の客単価は一般的な調剤薬局に比べかなり高い。実際、季節を先取りする化粧品、健食等のほか、リハビリシューズなど介護関連グッズも揃えるなど地域ニーズに対応。同県の「にいがた健康サポート薬局」にも、全店舗が登録されている。
上村さんは公的には、地元商工会議所の健康医療福祉ビジネス研究会副会長、長岡市薬剤師会会長も務め、地域振興にも注力する。直近では、長岡市中心市街地再開発事業の一環として、サービスつき高齢者向け住宅の建設を予定、雇用拡大にも貢献したい考えだ。
メッツ川崎薬局(東日本メディコム)
http://www.e-medicom.co.jp/shohin02/dsp/index.html