全日本医薬品登録販売者協会会長 杉本雄一
薬局開設者等(「医薬品等販売業者」を含む)に対する法令遵守体制の整備等を義務付ける医薬品医療機器等法の一部改正、いわゆる「ガバナンス関係規定」の改正が行われ、薬局開設者等は法令遵守体制の整備等が義務付けられました。医薬品販売業務全般についての体制整備を求める本格的なものです。
薬局開設者等は、義務として法令遵守を重視する体制の構築、その周知徹底と業務の遂行、必要な改善措置整備等を執り行うこと等、法令遵守のためのプロセスの確保を求められるようになったわけです。
登録販売者は、生命関連製品を取り扱う薬局開設者等の近くで医薬品販売業務に従事する職能人です。指針・手順書・社内規程等の内部規範の見直し等について学習を深める必要があります。そこで、昨年は「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」を手放せない期間がありました。見直し過程を経て、高い倫理観を持ち、薬事に関する法令を遵守して業務を行う責務があることを痛感しております。
登録販売者の業務遂行は、社会からの信頼が高いレベルで確保されていることが前提となります。そのためには、登録販売者が業務の遂行に当たり、ガバナンス、コンプライアンスの徹底に向け、職能人として果たすべき役割を学習・理解し、役割を実際に果たすことが極めて重要です。
全薬協では、薬事関係情報の周知等を事業目的の一つとしています。引き続いて「ガバナンス関係規定」を含む薬事関係規制の周知・徹底等を通して、登録販売者が社会的任務を果たせるよう公益団体としての情報発信力および支援体制の強化に邁進する所存です。
登録販売者の外部研修との関係では「研修実施通知」から10年を経て「研修省令」が定められました。さらに「研修取扱通知」が発出され、昨年4月1日から施行されています。
全薬協は、登録販売者の外部研修実施機関の先駆けであり、外部研修制度の整備が進んだことを感謝しています。今後も、登録販売者の資質向上のための研修の専門性・客観性・公正性の確保等の充実に努めていきます。
最近、登録販売者試験合格者から全薬協に対し、昨年8月1日から施行されている「管理者省令」の具体的内容について問い合わせが急増しています。様々な期待を持って登録販売者試験に挑戦する方々がいることを実感します。これらの期待を受け止められるのかが今後の課題です。