日本医薬品登録販売者協会会長 樋口俊一
毎年、十巻十二支の干支の話を引用させていただいていますが、今年は癸卯(みずのと・う)の年です。この年は万事正しく筋を通して行くと繁栄に向かうが、一旦やり方を間違うと事柄が紛糾して動乱を招くという意味を含んでいます。そのため、一歩筋を誤ると何もかもが壊れて、ご破算にもなりかねないという年でもあります。
過去の歴史を紐解いてみると、慶長8(1603)年に徳川家康が征夷大将軍に任じられ、江戸に幕府を開き260年以上徳川幕府が続きました。一方、明治36(1903)年は軍国主義が優勢になり翌年の日露戦争から昭和20(1945)年の太平洋戦争敗戦につながっていきます。つまり、今年は日本医薬品登録販売者協会にとっても大きく飛躍するか否かの大切な年になります。
一昨年定款を変更し、それまでの人材育成を主とした協会運営から登録販売者の地位保全、職域拡大等を目指す職能団体として大きく舵を切り活動を進めてきました。特に厚生労働省には、様々な局面で意見を述べてきました。
その結果、以前に比べ医薬品登録販売者の意見に耳を傾けていただくようにもなりました。しかし、具体化できなかった点も多々ありました。
そこで本年は、日本医薬品登録販売者政治連盟を改め、「日本医薬品登録販売者連盟」と名称を変更し、組織を新たにして活動することとしました。行政府への意見具申だけではなく、立法府への働きかけを推し進めていきます。会長は当協会副会長、岩手県登録販売者協会会長の内藤隆氏が就任します。内藤氏は登録販売者として、地域生活者の健康管理に寄与されていますし、登録販売者集合研修の講師としても活躍されています。一方、地域で政党や政治家との幅広い関係を持っておられる適任者です。
コロナ禍の中、抗原検査キットが医療用から一般用にスイッチ化しました。しかし、第1類のためネットで買えますが、登録販売者は販売をすることができません。登録販売者にも第1類が販売できるようご理解いただいている元国会議員の先生に顧問になっていただく予定です。登録販売者不要論がある中、地位保全はもちろんのこと、職域拡大に関しても立法府を通じて法律改正につなげていければと思っています。
行政に働きかけていく当協会と、立法府との関係を進めていく連盟が両輪となって登録販売者の地位保全・職域環境改善に努めていきます。