2023年が幕を開けたが、昨年末からの年越しに当たっては、今回もまた新型コロナウイルス感染症と共に年越しということになった。国内で新型コロナウイルス感染症が発生してから、間もなく3年という期間が経過しようとしている。しかし、未だにコロナ禍の収束は見えてこない。現在も感染拡大第8波の真っ只中にある状況が続いている。
3年という期間は決して短くはない。中学校や高校で言えば、入学してから卒業までの期間と同じである。日常で何をするにおいても、コロナを度外視することは難しく、“ウィズコロナ”という言葉も定着して久しい。コロナ禍での生活や仕事、学校、余暇の過ごし方などが当たり前となり、かつては感染拡大に伴って実施されてきた行動制限はなくなり、社会経済活動を維持しつつ、感染対策への対応が進めらている。
振り返れば、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、国内でも多くの業種や企業が業績に大きな影響を受けた。コロナ禍前の業績と比べ、その域まで未だに回復できないでいる企業も少なくないだろう。
こうした中、ドラッグストア業界はコロナ禍にあっても成長を継続している業界と言える。21年度のドラッグストア実態調査によると、全国の総売上高(推定値)は8兆5408億円で、初めて8兆円を突破した20年度から6.3%の伸びを示している。
成長を継続する要因は様々あるが、その一つとしては、ドラッグストア店舗がコロナ禍で地域住民の信頼を獲得したことが挙げられる。日常生活の必需品や医療関連品、食品が1カ所で揃うといった利便性に加え、コロナ禍という不安の中で地域住民に寄り添う姿勢が高い支持へとつながっていったように思う。
ドラッグストア業界はさらなる成長も見据えている。日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が公表した「ドラッグストア業界研究レポート」(22年後期版)では、治療に関わる分野での機能充実と共に、治療後の生活やより健康で快適な日常をサポートするためのライフサポート機能を確立する必要性を指摘している。
さらに、JACDSでは昨年10月に「健康生活拠点(健活ステーション)化推進計画」を立案し、ドラッグストアの健康生活の拠点化を推進していく考えを明らかにしている。
この3年間、新型コロナウイルスによって翻弄された人や企業は多い。収束が見えぬ中、今なお翻弄され続けている人や企業、業界もあるだろう。それでも新たな年の年頭に当たっては、“今年こそは”と思いたくなる。
その際、コロナ禍であっても堅調な成長を遂げ、さらなる成長も見据えて尽力するドラッグストアの取り組みや姿勢には、学ぶべきところや見習うべきところが多くあるのではないか。