今月14日に改正医薬品医療機器等法(薬機法)が参議院本会議で可決、成立した。今回の改正により、医薬品製造販売業者から薬局等の一般用医薬品小売業者に至るまでの課題について規制緩和や強化、新たにスタートする制度など、多岐にわたる内容が盛り込まれている。
一方、改正法成立直後の一般紙などの報道では「オンラインで情報提供を受けるなどの条件を満たせば、コンビニエンスストア等で医薬品を購入できる仕組みを導入」といった表現が散見された。法改正により、コンビニで医薬品が買えるようになることをシンプルに印象づけているような感覚すら覚えた。
改正法について薬業界関係者が正確に理解、把握すべきことは当然だが、特に生活者や患者と接点の多い薬局やドラッグストア等の医薬品小売販売業者は、施行までに一般への普及啓発にも取り組んでいく必要があるだろう。
資格者不在の店舗で医薬品が受け取れる仕組みも、そのサービスにニーズがあるかは別にして、販売可能な医薬品区分が定められている。
改正法では、対面販売が義務付けられていた要指導医薬品のオンライン販売の解禁も盛り込まれているが、同時にその対象外となる「特定要指導医薬品」も設定。
また、乱用等の恐れのある医薬品を「指定乱用防止医薬品」とし、20歳未満への販売を制限する新たな医薬品カテゴリーが設けられる。施行初期段階では、販売側、購入側の双方共に混乱を来す可能性がある。
2019年の薬機法改正で導入された薬局認定制度についても、引き続き認知度という課題は残されている。今回の法改正により、16年10月に制度運用が開始され、昨年9月末時点で全国で3232薬局が届出を行っている「健康サポート薬局」が「健康増進支援薬局」として地域連携薬局等と同じ認定薬局の分類となる。
今週、その認定基準の検討もスタートした。検討会では各地域内で一般の薬局が持たない機能を補完するため、一定以上の基準を設けるよう求める声や、薬局として最低限必要な機能に各地域のニーズに応じた機能を上乗せする意見が出ている。
導入から約10年が経過する健康サポート薬局自体、認知度は高くないことが様々な調査で判明している。その意味では、認定薬局としての基準の設定も必要だが、それ以上に、一般生活者から受け入れられる仕組み作りを検討していくことも重要になるのではないか。
認定薬局と進化していく中でも、生活者に利用を促すインセンティブがあることも大事だ。改正法については、今後、公布と共に、より具体的な内容を省令で定めることになる。
国、薬業界側のみの論理ではなく、広く国民からも支持される内容で浸透してくことを期待したい。