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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】白金ザ・スカイ薬局(NeoX)

2023年08月01日 (火)

ITツールで利便性向上‐地域のかかりつけ薬局目指す

白金ザ・スカイ薬局

白金ザ・スカイ薬局

 都内で白金ザ・スカイ薬局など三つの薬局を展開するコンフィードは、都市型という店舗特性を生かして広域からの処方箋応需を実現している。ターゲット層の傾向からウェブマーケティングに注力して新規患者を取り込み、ITツールを積極的に導入することで患者の利便性向上を図り、地域のかかりつけ薬局を目指す。他薬局との差別化を進めると共に、調剤薬局業界のDX化推進にも貢献したい方針だ。

 同社代表取締役の中澤裕太氏は、薬剤師として働き始めた当初から調剤薬局業界はITツールによる労働生産性向上の余地があると見込んでいた。そうした考えから、現在は薬局業務にとどまらず患者やスタッフ間のコミュニケーションなどあらゆる場面でITツールを活用している。

中澤氏

中澤氏

 その取り組みの一つとして、処方箋の入力業務にNeoXが提供するAI-OCRの「薬師丸賢太」を導入している。中澤氏は、「処方箋入力の時間短縮だけではなく、処方箋の内容に向き合う時間と余力の創出が一番の目的だった」と導入の狙いを説明する。

 同社は麻布十番調剤薬局(麻布十番店)、新橋内幸町薬局(新橋店)、白金ザ・スカイ薬局(白金店)を展開している。全て港区にある都市型店舗で、応需する処方箋枚数は麻布十番店が月に約3500枚、新橋店は約1200枚、白金店は約600枚。

 今年4月にオープンした白金店は、約1200戸の大型マンション内に位置する。薬剤師数は2人、その他スタッフは2人ほど。建物内にある皮膚科クリニックをはじめ近隣に6軒ほどの医療機関があるが、処方箋集中率は50%を切る。白金店は当初から門前薬局ではなく、近隣住民に信頼される薬局を目標に広域からの処方箋応需を目指している。

 麻布十番店は1カ月の応需医療機関数が月に約300件に上る。広域からの応需に成功している理由について、中澤氏は「ウェブで検索順位が上がるような施策に取り組んだ成果が出ている」と分析する。店舗のターゲット層は目的地を選ぶ際にウェブやマップで検索して決定する傾向があると見て、ウェブマーケティングに注力した。

 こうした来店促進策と共に、オンライン診療や電子決済、処方箋の事前送信など利用者の利便性向上に向けたサービスをいち早く導入していることも特徴だ。「新たなサービスの適応が早く、そこに利便性を感じる生活者が多いエリアだと認識している。導入の早さは3店舗という限られた店舗数ならではの強み」と中澤氏は自信を示す。「チェーン薬局や昔ながらの薬局と並んでも埋もれないような戦略が必要だった。薬局周辺のリサーチを行った結果、ウェブマーケティングで間口を広げて新しい処方箋を取り込み、ITツールの導入によって患者の満足度を向上させることがカギだと考えた」と現在の方針に至った経緯を振り返った。

 現在もFAXなどアナログな手段が多く用いられている薬局業界において、同社は常にあらゆる手段で効率化を目指している。中澤氏は、薬師丸賢太を導入したきっかけについて、増加する処方箋を限られた人員で対応するためだったと話す。

 麻布十番店の敷地面積は約20坪と限られているため、スタッフ増員以外の手段で業務効率化が求められた。こうした背景から導入を決めたが、最大の狙いを「優秀なクラーク(調剤事務)は入力中に処方箋内容の間違いに気づくことがある。こうした能力を生かすためには、情報を正しく手入力することではなく処方箋の内容と向き合うことに時間や手間を割いてもらえるようにしたかった」と説明する。薬師丸賢太による入力作業の効率化によって、クラークの職能発揮にもつなげたい考えだった。

 全ての店舗でも導入し活用している。中澤氏は、新規の医療機関や患者は入力する情報が多いことから「当社のように広域からの応需を目指す薬局と薬師丸賢太はとりわけ相性が良いのでは」と評価した。

処方箋入力時間を短縮

スマートフォンで処方箋を撮影

スマートフォンで処方箋を撮影

 実際に薬師丸賢太による読み取りを行っている白金店のクラークは「スマートフォンで処方箋を撮影するだけで入力できるので簡単。病院の情報が全く入っていない処方箋の場合は、手入力と比べて体感で2分ほど短くなっていると思う。入力にかかる時間がかなり短くなるので心強い」と利便性の実感を語る。

 同店舗の薬剤師は自身で薬師丸賢太による読み取りは行っていないが、クラークが操作する様子を見て「明らかに入力が早い」と感じていた。「読み取った内容が正しいか確認する工程はどうしても必要だが、最大の強みは早さ。この店舗で働き始めてから薬師丸賢太を知ったが、時代に即したサービスだと思う」と現場でも好意的に受け入れている様子だ。

 薬師丸賢太で処方箋を読み取る手段はスキャナーに通す、またはスマートフォン等による撮影の二つがある。ユーザー全体ではスキャナーの利用が多いが、白金店ではスムーズなオペレーションのため、スマートフォンでの撮影を採用している。

 処方箋受付時にクラークがスマートフォンで撮影することで、薬師丸賢太による読み取りが始まると共に処方箋の画像が調剤室にあるタブレット端末に共有される。そのため、クラークが処方箋を受付した直後から薬剤師はタブレット端末の処方箋画像を見ながら調剤を開始できる。こうしたスムーズなオペレーションについて中澤氏は「クラークが薬剤師に処方箋を手渡す手間や処方箋のコピーにかかるコストもなくなった。さらに言えば、コピーした処方箋をシュレッダーで処理する手間も解消できた」と話し、複数のメリットを感じていた。

 業務の負担軽減策を常に模索し続けたことで、同社は現在のような効率的なオペレーションを確立した。価格や品質での差別化ができない調剤薬局業界で存在感を発揮するため、的確なマーケティングと新たなITツールの導入によって来店機会の創出と優れた顧客体験の提供に成功している。

白金ザ・スカイ薬局(NeoX)
https://yakumaru.ai/



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