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【薬剤師のスキルアップと生涯学習】薬学ゼミナール生涯学習センター

2023年07月14日 (金)

少人数の短期集中ゼミ開講

木暮氏

木暮氏

 薬学ゼミナール生涯学習センターは、筑波大学医学医療系地域医療教育学の前野哲博教授との研修設計により、薬剤師の領域を広げ、新たな視点を持つ薬剤師の育成を目指す少人数制の短期集中型ゼミ「Ph2030プログラム」を8月から開講する。前半はコミュニケーションスキル、臨床推論、検査所見の解析など医師の思考やマネジメントを学び、後半は各受講者が学んだ内容を実際に地域で薬剤師業務に活用し、地域貢献した内容を発表することを計画する。来年4月からスタートする医師の働き方改革を見据え、地域でのタスクシフトにも対応した薬剤師を育てる。木暮喜久子センター長は「ゼミ卒業後はチューターとして、後進の薬剤師を教育するリーダーになっていただくことを期待している」と話す。

 Ph2030プログラムは、筑波大と薬ゼミの医師、薬剤師が完全監修したもの。“Ph2030”としたのは、2030年までに地域で活躍できる薬剤師になるとの願いを込めた。講師陣には前野氏のほか、筑波大医学医療系地域総合診療医学の吉本尚准教授、薬ゼミの前田紗代子氏、徳田和也氏などを揃えた。

 期間は8月27日から来年3月31日の短期集中型となっており、先着12人の少人数ゼミであるのが特徴。原則、プログラム全日程に参加できる条件は35歳以下の薬剤師となる。

 受講者の年齢を35歳以下とした狙いについて木暮氏は、「薬学6年制がスタートした頃に学生だった世代であり、活気ある世代をより強化したいと考えた」と話す。

 来年4月から医師の働き方改革がスタートし、医師の業務負担軽減に向けては、医師から他業種に業務移管するタスクシフトの推進が課題となっている。

 薬ゼミ生涯学習センターは3年前にe-ラーニングを開講し、薬剤師にも可能なタスクシフトの実践を目指し、様々な講座を開催してきた。Ph2030プログラムはe-ラーニングよりも学んだ内容を薬剤師業務で実践するためのアウトプットを重視したプログラムとなっている。

 基礎的なスキルとしてプレゼンテーション、コミュニケーションの向上、専門的なスキルとして臨床推論(頭痛、かぜ、腹痛、動悸など)、糖尿病のトータルマネジメント、検査所見の解析、臨床倫理学が学べる幅広い内容となっている。

 プログラムの流れを見ると、初回は講義やディスカッションを通じて、地域医療で求められる薬剤師の役割を理解する。

 コミュニケーションスキルは、分かりやすく言えば医療で活用できる情報を患者から聞き取るスキルだ。医療面接において重要な「患者理解のための情報収集」「治療への動機付け」「信頼関係の形成」の三つの役割を理解し、医療者が欲しい情報について、患者が話しやすいように聴く手法を実践できるようにする。

 合宿形式の集中講座では「臨床推論」を学ぶ。医師の思考回路の基本的な部分を理解することが入口となる。「頭痛」「かぜ」「腹痛」「動悸」などの症状を訴える模擬患者を相手に薬剤師が問診、診断を行い、症候診断から緊急度を評価。その上で、医師への伝達内容をどうしたらいいかポイントを押さえる。

 また、臨床推論のスキルを身に付け、最終的には患者から情報収集した内容から“臨床決断”を行えるようになることを目指す。

 12月には講座で学んだ内容をプレゼンテーションで発表し、地域で活躍できる薬剤師としての目標を明確にすると共に、他メンバーの発表を聴講し、各地域での薬剤師が活躍できるポイントを共有する。

 12月から来年3月までの3カ月間は自主学習期間を設けた。受講者が各地域で学んだ内容を実践し、薬剤師業務に活用していく。実践内容は毎月レポートで提出する。最終回となる11回には、各受講者が地域貢献した内容を最終発表する。

 薬ゼミでは、ゼミ卒業の第1期生が地域医療の第一線で活躍し、若手薬剤師を教育するリーダー役を担う姿を期待する。木暮氏は、「医師業務の中で介入することを自ら考える薬剤師をサポートできれば」と話している。

薬学ゼミナール生涯学習センター
http://www.yakuzemi-shougai.jp/



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