第56回日本薬剤師会学術大会
薬剤師が対人業務に専念できる新しい調剤業務のスタイル「zero for Pharmacy」。調剤ロボット、機器、システムや電子カルテシステムを販売するユヤマが考える新調剤コンセプトだ。その実現のために、まずは調剤機器「ゼロシリーズ」の普及を目指す。
時代が進むにつれて薬剤師が活躍する場面も拡がり、調剤を中心とした「対物業務」から患者を中心とした「対人業務」へとシフトされてきた。しかし、調剤室での調製作業に多くの時間が取られ、薬学的知識に基づいたきめ細やかな服薬指導等、「対人業務」となる患者への対応が難しくなっていることから、薬剤師以外の人に調剤機器の操作を安心して任せられる新しい調剤業務のスタイルを構築する必要がある。
人が操作する以上避けることのできないのがヒューマンエラーの発生と、機器を操作する薬剤師以外の人が判断を加えてしまい処方と異なる調剤がされるかもしれない、といった課題がある。
同社では、その対策として調剤機器「ゼロシリーズ」として、水剤分注機「miniAQUA-zero」、鑑査システム一体型自動散薬秤量機「auto onedy-zero」、自動秤量機能付き散薬分包機「SR-zero」の発売を開始。新コンセプト「zero for Pharmacy」実現を目指している。
新コンセプトは、薬剤師が調剤スペースに滞在する時間をゼロにする「ゼロファーマシスト」、ヒューマンエラーによる調剤過誤をゼロにする「ゼロエラー」、全自動での調製作業に関わる時間をゼロにする「ゼロタイム」の三つの「ゼロ」
その中でも「SR-zero」は、専用のカセットから散剤の必要量を秤量しながら自動的に払い出し、配分、分包する。薬品カセットを装着するのは人だが、散薬カセットにはRFIDチップが付いており、処方と異なるカセットがセットされているとエラーでお知らせ、スタートしない仕様になっており、ヒューマンエラーを未然に防止する。また、本体幅76cmのコンパクトサイズながら、散薬カセットを最大で五つまでセットできる点も特徴の一つだ。さらに、量の少ない分包にも対応。1カセット当たり最小0.3gから払い出せる。分包完了後は、散薬の通る経路に重曹を流し込み自動で清掃する等、安全性も高いレベルで実現している。
薬剤師以外の方に操作を安心して任せることで、ますます重要になった薬剤師の対人業務の時間確保のツールとして期待される。
第56回日本薬剤師会学術大会付設薬科機器展示会(和歌山県民文化会館)では、「SR-zero」をはじめ、タスクシフトにつながる最新の調剤機器を多数展示する予定だ。