第56回日本薬剤師会学術大会
処方箋の入力作業を支援するソフトウェア「薬師丸賢太」は、業務効率化を実現できる利便性、入力ミスの防止や利用開始時のハードルの低さなどが支持され導入店舗数を伸ばしている。2022年1月の正式リリースから、今年7月には1900店舗で導入された。
NeoX(ネオックス)が展開する薬師丸賢太は文字情報をデジタル化するOCR技術を活用している。スキャナやスマートフォンで読み取った処方箋の画像から、AIが情報をデータ化してレセコンへ連携する。従来はスタッフが手作業で対応していた手間を省略できるようになり、入力ミス軽減や作業の効率化を実現する。
読み取りに用いるスキャナやスマートフォンの機種に指定はないため、店舗にある機材をそのまま利用できる。加えて、レセコンはQRコード対応であればほとんどの機種で利用できるため、レセコンの入れ替えが必要なケースはほとんどない。
このように新たな機材を購入せずに利用を開始できる手軽さに加えて、医療機関ごとに異なる処方箋のフォーマット登録が不要な点も現場で好評だ。特殊な様式や手書きの処方箋であっても、スキャンもしくはスマートフォンで撮影した画像からAIが判断して情報を抽出するため、導入直後から高い精度での読み取りが可能だ。処方箋が複数枚つづりの場合でも、複数の患者の処方箋であってもまとめて読み取れる。
こうした機能はスマートフォンがあれば店舗外でも利用できる。店舗環境に応じて使い分けられるよう、薬師丸賢太はWindowsアプリとスマートフォン版のアプリが展開されている。そのため、訪問調剤や施設調剤など店舗外からであっても、スマホアプリ版薬師丸賢太で処方箋を読み取ると、店舗内の端末で内容確認やレセコン入力ができる。スマホアプリとWindowsアプリの併用に追加費用はかからない。
レセコンに入力された情報に間違いがあった場合はそのままレセコン上で修正できる。薬師丸賢太は誤読と修正内容も学習するため、以前は修正が必要だったケースでも短期間で読み取れるように変化する。使い続けることで読み取り精度がさらに高くなっていくことも薬師丸賢太の特徴だ。実際に、22年と比較して今年は読み取り精度が60%改善している。
料金は読み取った処方箋枚数に応じて変動するため、薬局の規模に合わせた費用で利用できる。機材の購入や事前設定など初期導入時の負担を抑えながら、調剤の入り口である処方箋入力作業の効率化を果たす。