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情報の真贋、見極める視点必要

2023年10月27日 (金)

 今月に入り、様々な制度が相次ぎ施行された。まずはテレビやインターネットでのCMで頻繁に発信されているインボイス(適格請求書)制度がある。国税庁のホームページによると、インボイスは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものであり、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」および「消費税額等」の記載が追加された書類やデータだと説明している。インボイス制度では、売手、買手それぞれの対応義務を規定している。それまで対象外だった事業者等は対応に追われている。

 もう一つは、ステマと略称されている「ステルスマーケティング」関連の告示施行である。3月28日に内閣府告示第19号が内閣総理大臣名で告示されていた。内容は、不当景品類・不当表示防止法の該当規定に基づき、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示を指定し、今月1日から施行するというもので、施行日からステマは景品表示法違反となった。

 指定された表示は、「事業者が自己の供給する商品または役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」とされている。

 消費者庁は、景品表示法で規制されるのは広告であるのに一般消費者が広告と分からないものであり、その広告には企業がインフルエンサー等(第三者)に依頼・指示するものも含まれるが、広告・宣伝の依頼を受けた第三者は規制の対象にはならず、規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する広告主の事業者だと説明している。個人の感想等の広告でないものや、テレビCM等の広告であることが分かるものは対象外だそうだ。通販番組の使用者コメント映像画面の片隅には必ず「個人の感想です」と表示されている。

 ステマとは異なるが、日本には古くから“サクラ”と呼ばれる存在がおり、露天で売られている商品を第三者を装って率先購入し、周りの人に購買意欲を煽る活動などをしていた。今ではショップ、グルメ、出会い系など主にネット上で作為的に誘導しているケース発覚が見られる。

 医薬品業界では、法律と省令などにより虚偽情報の提供や誇大広告は厳に規制されている。それでも治験データ改ざん(GCP違反)や、製造現場でのGMP違反事例は後を絶たず、健康食品やサプリでも医薬品医療機器等法違反が散見される。性善説に立つ限り、信頼している相手から提供される情報が正しいと信じることは避けられない。

 デジタル時代では、意見・主張、最近では映像でさえAIが生成する社会となった。正確な情報をいかに見極められるかが問われている。できる限り誤った情報に踊らされることがないよう、日々の研鑽を積み重ねていくしかないだろう。



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