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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】ゆいのはな薬局湖北台店(東邦薬品)

2024年07月31日 (水)

自動発注機能で在庫適正化‐手間削減し対人業務充実

ゆいのはな薬局湖北台店

ゆいのはな薬局湖北台店

 ゆいのはな薬局湖北台店(千葉県我孫子市)は、慢性疼痛や癌性疼痛など、痛みに悩む患者の拠り所となる薬局づくりに注力している。開局2年未満の新しい薬局として来局患者が増加傾向にあり、薬剤の適切な発注が課題となっていたが、薬局本部システム「ミザル」の自動発注機能の導入により、発注に関する複数の課題を解消。対人業務の充実に時間を充てることが可能となった。

 2022年10月に開局した湖北台店は、管理薬剤師の北岡伊織氏を含めた薬剤師5人と事務員2人が勤務する。隣接するペインクリニック、近隣の内科クリニック、同市内や柏市の総合病院、茨城県から患者が来局するほか、老人ホームや個人宅への訪問診療にも対応している。

大槻氏(左)と北岡氏

大槻氏(左)と北岡氏

 現在の一日当たり平均処方箋応需枚数は40~45枚で、腰部や四肢のしびれ・痛み、帯状疱疹に悩む患者が多く来局し、患者は増加傾向にあるという。北岡氏は、「現在服用している薬剤の効果が見られなかった際に相談に来る患者が多いので、そのような患者の拠り所となる薬局にしたい」と語る。

 湖北台店と東松戸店を経営するメディカルシーズは、「いたわり・共感・尊敬を大切に、地域で望まれるあらゆる健康増進サービスを提供すること」を企業理念としており、大槻賢次郎代表取締役は「癌性疼痛患者や高度な在宅医療に対応し、患者の最期まで付き合っていきたい」との考えを示す。

 一方、新規患者の増加に伴い、薬局で事前に備えておくべき薬剤の種類や量を把握しきれず、薬剤を大量購入する月と大量購入しない月の波が見られる課題を抱えていた。開局当初は、レセコンに搭載された在庫・発注管理機能で薬剤の在庫数をスタッフが確認していたため、薬剤の確認漏れや注文の重複など、ヒューマンエラーが見られた。

自動発注機能により発注にかかる現場の手間を削減

自動発注機能により発注にかかる現場の手間を削減

 そのため、東邦薬品が開発・販売する薬局本部システム「ミザル」を導入した。発注管理画面の見やすさや管理のしやすさが、スタッフの業務効率改善につながると考えたためだ。大槻氏は、「管理画面のトップページに在庫率が表示され、深く調べなくても在庫のだぶつきが一目で分かる。ミザルの導入後は、購入量の波がある程度フラットになり、粗利率にも改善傾向が見られた」と語る。

 特徴的な機能として、日々の実処方に基づいた自動発注機能が挙げられる。従来は紙のカレンダーで薬剤発注のタイミングを管理・運用していたため、業務が大幅に効率化された。患者単位の前回処方をもとに、次回来局日の処方予定数量を予測する「長期処方薬自動発注機能」は、設定した長期処方日数に基づき、対象患者の次回来局日に処方される内服薬の調剤予定数量と発注時点の在庫数量を比較し、在庫が足りない場合に自動発注される。対象患者の来局予定日前には処方薬を揃えることが可能となる。

 北岡氏も、「最も改善したのは長期処方だ。内科患者では60日や90日など長期処方の人が多く来局するようになり、管理が難しくなっていた。従来は患者に薬剤を渡した後すぐに薬剤を大量購入していたが、ミザルの導入後は来局直前の購入に切り替えられるようになった」と強調する。

 経営者の視点では、薬剤の大量購入による過剰在庫の発生は避けたい。反面、現場では患者のために薬剤の不備を招きたくない。大槻氏は「この相反する2面性のコントロールが難しい。過剰な薬剤の購入を避けるための理屈がなければ薬剤師は納得してくれないが、ミザルが薬剤師の納得に向けた材料になる」とした。東松戸店ではまだ自動発注機能を使用していないが、湖北台店での実績を踏まえて使用を検討しているという。

疼痛への対応で存在感発揮

ミザル導入で対人業務により時間を充てられるようになった

ミザル導入で対人業務により時間を充てられるようになった

 ミザルは、発注にかかる薬剤師の手間が削減されることで、空いた時間を対人業務に充てることができることを特長の一つとしている。実際に、大槻氏と北岡氏共に「開局から現在に至るまで、患者の話を聞いて悩みの解決につなげるなど対人に注力しているため、可能な限り対物業務は簡単にしたかった。今回の導入で、より対人に注力できるようになった」と語る。

 湖北台店が所在する地域は、半世紀にわたって高齢者人口に大きな変動が見られない。そのため、大槻氏は「患者とのやり取りを大切にして地域・患者から選ばれる薬局となり、でき得る貢献をしていきたい。地域で高度な治療が必要な疼痛患者に対応できる薬局は多くないので、そこで存在感を発揮していきたい」とした上で、「そのためにも、薬剤師・スタッフの対人業務を効率化することや、ヒューマンエラーを削減して経営を効率化することが重要」と述べた。

 また、北岡氏も、「健康相談や顔出しだけでも良いので、周辺住民から親しみを持たれ、地域に根付いた薬局として認知されたい。処方箋が発行された際は、ゆいのはな薬局に行こうと、住民から選ばれるお気に入り薬局にしていければ」と話している。

ゆいのはな薬局湖北台店(東邦薬品)
https://www.tohoyk.co.jp/support-system/mizaru/



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