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【第57回日薬学術大会】彩りあるプログラムを用意‐大会運営委員会インタビュー

2024年09月17日 (火)

第57回日本薬剤師会学術大会

 今回の日本薬剤師会学術大会は大会テーマ「彩(さい)」に相応しく、初の試みが多いのが特徴だ。研修単位の付与では従来の大会に比べ柔軟性を持たせており、大会終了後にコンテンツをアーカイブ配信し、オンデマンドによる視聴も可とした。分科会では彩りあるプログラムが多く並ぶほか、県薬企画や薬学生シンポジウムも開催する。今回、大会運営委員長である埼玉県薬剤師会の斉藤祐次会長をはじめとする運営委員メンバーに話を聞いた。

大会運営委員のメンバー

大会運営委員のメンバー

 斉藤委員長 大会テーマの「彩(さい)」は彩の国という場所を表す彩、薬剤師の未来を彩る大会にしたいということで彩としました。

 今回の学術大会では研修単位の付与について新たな試みを行っています。今までは日本薬剤師研修センターによる研修単位が第1日目4単位、第2日目2単位の付与としていました。日本薬剤師研修センターとの話し合いにより第1日目は午前11時までのQR読み取りについては「全日4単位」で入場を確認し、午後6時半~7時までの退場確認で単位を付与しますが遠隔地から来られる方で朝の開会式に間に合わない場合の対応として、午前11時を超過しても午後2時までにQR読み取りをしてもらえれば「半日2単位」を付与します。2日目は2単位としています。ウェブ参加でも単位を取得できます。

 また大会参加登録済みの方は、大会終了2週間後をメドに大会ホームページにて視聴を可能とする予定です。アーカイブでコンテンツを配信するのは初の試みです。配信機関は約1カ月間程度を予定しています。特別記念講演、特別講演、分科会、日薬会長講演、一部のランチョンセミナー、スイーツセミナーを配信します。

斉藤運営委員長

斉藤運営委員長

 多数の分科会が同時に進行していくので、参加者が聞きたいプログラムが聞くことができないという話もあり、アーカイブで配信を行うことになりました。

 日本薬剤師研修センター(G01)以外の生涯教育プロバイダーによる研修単位付与も試行的に実施します。オンデマンド配信コンテンツを視聴した受講者は埼玉県薬剤師生涯研修センターの研修単位(G15)を申請することができます。大会終了後のアーカイブ配信でオンデマンド配信コンテンツを視聴し、レポートを提出して単位を取ることが可能です。現地参加、ウェブ参加は最大6単位取得可能ですが、アーカイブ配信の付与の上限は5単位となりました。

 今回、SNSを使った情報発信も行いました。若い人たちに学術大会を行うことを知らしめたいというのが狙いでした。XやLINEで1万人のフォロワー数を目指し、目標数には到達していませんが、チラシを見ることのなかった人たちにもリーチしたのではないかと認識しています。

 池田里江子委員(埼玉県薬常務理事) 今回の学術大会では県独自の分科会が採択されました。2日目11時からの「若手薬剤師が考える『彩』ある職能の可能性」というテーマで、埼玉県薬剤師会青年部を中心に若い薬剤師の思いを語り合う会をとなっています。6年生を卒業している薬剤師、病院薬剤師やドラッグストアの薬剤師、薬局の薬剤師とそれぞれ特徴ある事業に取り組んでいる薬剤師に講演いただき、厚生労働省医政局地域医療計画課外来・在宅医療対策室在宅医薬連携専門官の池田大輔先生には基調講演としてお願いしています。

 パネルディスカッションを計画しており、今後の薬剤師像や今後こうありたい、羽ばたいていきたいなど若手薬剤師が考える未来を演者のみならず全員で考えられる時間になればいいと思っています。

 また、分科会14「処方提案に役立てる基礎薬学を活用した医薬品へのアプローチ」は、アカデミック・ディテーリングの学会が設立され、基礎薬学を活用した観点で新たな処方を提案するものとなっています。医療機器プログラムを取り上げる分科会も用意しました。既に医療機器として承認されているものもあり、予防や治療でアプリが使われ始めており、その医療は薬剤師としても決して遠いところではないと思っています。

 分科会15の「後発品の供給問題と安定供給に向けた対策」は日薬から取り上げてほしいとの要望を受けて立ち上げました。流通問題について日本医薬品卸売業連合会、日本ジェネリック製薬協会などと一緒に考える機会になると思います。

 畑中典子委員(埼玉県薬副会長) 分科会10「彩りある未来・地域・社会で活躍する医療人の養成」は慶應義塾大学医学部の春田淳志先生から基調講演をしていただきます。2022年度教育モデル・コア・カリキュラムは医師、歯科医師、薬剤師の同時改訂があった。コアカリの中では多職種連携が入ったのが画期的と言われており、それを牽引したのは春田先生です。なぜ多職種連携なのかを医師の視点でお話しいただきます。

 金沢大学教授の金間大介先生はZ世代の特色などを出版されている方で、若い薬剤師の育成で考えていかないといけないことをお話ししていただきます。他の学会では聞けないものだと思いますので推奨したいです。

 薬学生シンポジウムは、日本薬学生連盟と埼玉県薬剤師会が一緒に考えるために企画したもので、薬学生が防災教室のために考案したカードゲーム「避難所サバイバル」を用いて、薬剤師が災害関連死を防ぐ観点でディスカッションできればと思っています。参加は学生だけで学術大会の特色になると思います。

埼玉らしさ発揮した大会に

 齊田征弘委員(埼玉県薬副会長) ポスターは埼玉らしさをどう出すかを工夫して作成しました。埼玉は飛行機発祥地であり、スーパーアリーナから全国の薬剤師に対して飛ばしていきたいと思っています。

 特別企画「私と患者のエピソード―薬剤師(医療事務)の立場から」を開催します。薬剤師が日常業務で経験した患者さんとの貴重なエピソードを通じて、薬剤師としての矜持を共有し、患者対応の引き出しを増やすことを目的に、大会に参加登録された方から「私と患者のエピソード」を募集しました。応募されたエピソードは展示会場に掲示します。

 また、当日来られた薬剤師の方々にも未来の薬剤師に向け、ボードにメッセージを書いてもらおうと思っています。プログラムを聴講することだけではなく、その場で参加できる企画にしたいので特別企画を考えました。

 野田政充委員(さいたま市薬会長) 日薬学術大会はコロナ禍を経てかなり変わってきており、オンラインが主流になってきています。一方で、これまで学術大会で経験してきた現地での交流をどのように深めるかについて埼玉らしさを出したいと思いました。

 学術大会の会場の目玉はさいたまスーパーアリーナです。これまでスーパーアリーナで学会を行ったことはなく、前例がありませんでした。多くの企業が展示に積極的に参加いただき、ポスターも300題以上の発表があります。

 これまでの学術大会ではポスター会場の規模が限られたことで参加者同士で議論が交わせないということもありましたが、それを感じさせないほどの広いスペースを用意することができました。さいたまスーパーアリーナに足を運んでいただきたいです。



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