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【日本OTC医薬品協会】「OTC医薬品産業活性化ビジョン」策定

2009年05月14日 (木)

 日本OTC医薬品協会は、4つの戦略目標からなる「OTC医薬品産業活性化ビジョン」を策定した。ビジョンは「激変する環境に対応し、会員企業個々の利害を超えた共通のビジョンの下に力を結集し、セルフメディケーション普及を図る環境を構築する必要がある」として、検討が進められてきたもの。

 ビジョンの期間は、今年(2009年)から14年までで、『生活者の健康に資するため、少子高齢化、保険財政の逼迫等の環境変化に対応し、セルフメディケーションの役割の拡大と質の向上により、既存市場の活性化のみならず、新たなOTC医薬品市場を創生し、生産額1兆円を超える産業を目指す』こととした。

 行動計画(戦略目標)としては、「OTC医薬品の役割拡大」「OTC医薬品の質・信頼性向上」「OTC医薬品の利便性向上」「OTC医薬品協会機能の拡大・向上」の4つを挙げた。

 行動計画の内容は次の通り。

OTC医薬品の役割拡大

 1)OTC医薬品の機能・範囲拡大

 OTC医薬品の範囲拡大の方向は、生活者のニーズの高い高血圧、高血糖、高コレステロール等の改善を目標とする生活習慣病の治療薬、予防薬と医療保険の適用対象外となるような食欲抑制剤、勃起不全治療薬、経口避妊薬等の生活改善薬と考える。

 生活習慣病をOTC医薬品で治療する場合には、薬剤師のアドバイスや受診勧告が的確に行われる必要があることから、医師会・薬剤師会との連携を図り、医師・薬剤師・OTC医薬品メーカーの協働体制の構築を目指す。

 生活習慣病の自己治療を進めていくためには、課程で簡便に自己検査ができる環境が必要である。採血を伴う血糖、コレステロール等の生活習慣病自己検査薬の承認取得に向けて、他団体と共同作業を開始し、最終的には治療薬と検査薬のセット承認が可能になる環境作りを目指す。

 これら生活習慣病・生活改善薬のスイッチ化促進のために、審査体制の整備と申請要件の緩和を目指す。範囲拡大のためには、多くのスイッチOTC等の申請とそれに対応した審査が必要になるが、行政の「マンパワー・スキル」は不足しており、障害となっている。これを解決するため、承認基準制定薬効群を拡大することで、数の多い申請区分(8)等の審査業務の簡素化を進め、生活習慣病薬、生活改善薬等の審査に注力するよう、行政との定例会等で働きかけていく。

 医学会・薬学会と連携しながら、スイッチOTCスキームの継続を支援し、既存薬効群へのスイッチにおいても効き目がシャープで、副作用の少ない成分をOTC医薬品へ取り込んでいく。

 現在の新規スイッチ申請時に、当該成分の先発医療用医薬品メーカーの承諾が実質求められているが、承諾が泣くとも公表資料・自社臨床試験結果で承認を得られるよう、行政との折衝を開始する。

 2)既存OTC医薬品の活性化

 前述した既承認基準の成分・分量の拡大、効能表現の見直しは、既存OTC医薬品の活性化に有効である。

 OTC医薬品の魅力を余すことなく伝えられるようにするため、現在の生活者に一層分かりやすい表現を可能にする広告自主規制の内容を見直す。また、生活者の知りたいニーズの拡大に応えるためのデータ広告で使用できる臨床試験結果の範囲を、再審査・再評価申請時添付資料、PMSデータ、承認後に行った臨床試験結果までの拡大を目指す。

 伝統薬の効能効果は、規制の変遷により一般的な効能表現に改められた結果、陳腐化し、魅力に欠けるものになってしまったが、本来の魅力的な効能をきちんと表現する。伝統薬には多くの生薬が配合されているので、個々の生薬の薬理作用・効果をまとめたデータベースを構築し、新たな魅力的効能効果のための検討ができる環境整備を目指す。

 3)国際化への対応

 多国籍企業に遅れを取っているアジア市場への進出をサポートするために、APSMI(アジア太平洋セルフメディケーション協会)を日本主導で正式発足させ、アジア域内各国へ日本企業が進出する際に障害となっている薬事制度の問題点の解決を目指す。

 APSMI、WSMI(世界セルフメディケーション協会)活動への参画により得られる情報・ベネフィットを会員企業に還元するため、情報紙の発刊等の環境整備を行う。

OTC医薬品の質・信頼性向上

 1)セルフメディケーションの普及

 「OTC医薬品」「セルフメディケーション」の認知率を50%以上に向上させるため、パブリシティ、定期広報雑誌等を通じた活動を今後も継続する。また、小さい頃からのOTC医薬品・セルフメディケーションへの理解を浸透させるため、学校教育の場での薬教育について文部科学省、学校教育機関、日本薬剤師会と連携を取り、薬育の定着と充実を図る。

 セルフメディケーションの社会貢献を数値化するために、現在検討中の血圧降下剤がOTC医薬品化された場合の医療保険を含めた医療経済全体への影響研究を、さらに他の薬効群まで拡大し、その結果を用いて広報活動を行う。

 2)OTC医薬品の価値向上

 前述の通り、OTC医薬品の魅力を余すことなく伝えられるようにするため、現在の生活者に一層分かりやすい表現を可能にする広告規制の内容を見直す。また、生活者の知りたいニーズの拡大に応えるためのデータ広告で使用できる臨床試験結果の範囲を、再審査・再評価申請時添付資料、PMSデータ、承認後に行った臨床試験結果までの拡大を目指す。

 3)適切な品質の確保

 生活者のOTC医薬品への信頼性を得る前提として、高い水準で一定した品質が確保されている必要がある。現在、OTC医薬品はGMP・GQPの遵守により、生活者が製品を購入する時点での品質を担保している。製造原料のトレーサビリティ、開封後の保持期限の担保にまで品質担保の枠を拡大していくために、自主基準運用の検討を進める。

 しかし、単に品質担保の枠を広げるのではなく、製造時に輩出される二酸化炭素量の削減にも積極的に取り組んでいく。

OTC医薬品の利便性向上

 1)新制度下のチャネル対応

 新販売制度により、チャネル・販売資格が拡大しても生活者への安全性情報に対する製薬企業の責任に変わりはなく、すべてのチャネルに対して、これまで以上の安全性情報の提供を行う。

 現在はMR・卸店MSによる自社製品の人的情報提供が主であるが、チャネル拡大により人的なフォローには限界が予想されることから、OTC医薬品協会ホームページを通じて、協会会員企業製品だけでなく、すべてのOTC医薬品製品の安全情報を一元的に発信するシステムの構築を開始する。

 また、セルフメディケーションデータベースセンターと連携し、ITの活用による添付文書・説明文書等の製品情報提供の拡充を図る。

 2)安全性の確保

 安全性は、製品の品質と正しい使用法により担保されるものである。正しい使用方法と服用の際の注意事項を生活者に伝達する基本である添付文書については、新販売制度下での添付文書記載要領を完成させ、各社の添付文書に反映させる。また、薬剤師・登録販売者等、専門家への情報提供内容の検討を進める。

 3)適正な取引

 これまでの商習慣を見直し、環境に負荷をかけない合理的な流通を目指し、既存・新規チャネルのいかなるチャネルとも公平・公正な取引を行い、生活者からも納得される業界を目指す。

OTC医薬品協会機能の拡大・向上

 1)協会組織の強化

 このビジョンを実現するためには、OTC医薬品協会のあり方を、共同体から目標達成のための機能体素組織に転換し、その組織を強化・充実する必要がある。

 ビジョンに賛同し、ともに活動する会員を増やすことは、ビジョン実現の大きな力である。そのために協会ビジョンを明示し、合わせて協会入会資格の見直しを行い、OTC医薬品に関連する原料・製剤・包装等のメーカーの参画も呼びかけるほか、マスコミ・販売団体からの入会も可能とし、会員数・範囲とも拡大する。

 他のOTC医薬品関連団体に協議会の設置を呼びかけ、協議会の事務運営を担う。その結果、OTC医薬品の日本製薬団体連合会的な機能を有する協会を目指す。

 2)年次総会の拡充

 会員数・範囲が拡大した協会に対しては、会員からの要望も拡大するものと考える。そこで年次総会のあり方も見直し、現在の年次総会の決議・報告とは別に、各医院会報告分科会・イベント等を同時開催し、会員企業の固有の知りたい情報を入手しやすくすると共に、セルフメディケーション大賞を発表するなど、マスコミからも注目され、報道されるイベント総会に変貌させる。

 3)委員会等、各種機能の強化

 現在の事業活動戦略会議・理事会・各委員会の役割、位置づけを整理・明確化し、組織の運営方法を全般的に見直し、目標達成のための機能体組織として各委員会が連携して活動を行うための組織編制を行う。



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