島津製作所は3月12日、神戸大学大学院工学研究科と同社の研究グループ、ロボットやAIなどを活用した自律型実験システム(Autonomous Lab)のプロトタイプを開発し、細胞培養から前処理、測定、分析、仮説立案を自律的に繰り返し実行させる実証実験を行い、有用性の実証に成功したと発表した。この成果は、2月24日に国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載された。
同システムは、世界初のロボット対応液体クロマトグラフ(LC)および液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)を含む。ベンズ最適化(未知の関数を推定する機械学習の手法)を用いて、バイオテクノロジー実験と科学的仮説構築の繰り返しを効果的に実行する。
島津製作所は2021年から、同システムを神戸大統合研究拠点内のバイオファウンドリー実験室に設置し、「高機能物質生産につながる代謝経路でボトルネックとなっている酵素機能の改善」「培養条件の自動最適化」などについて共同研究を行っており、バイオ・新薬・新素材開発などの分野への展開や、それらの社会実装を目的とした実証実験を進めている。