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酵素活性を持つ「スーパー抗体酵素」の応用に期待

2006年9月20日 (水)

宇田泰三氏
宇田泰三氏

 抗体なのに酵素活性を持つ「スーパー抗体酵素」は将来、HIV治療など様々な分野に応用できるかもしれない――。広島県立大学生物資源学部教授の宇田泰三氏は、大阪国際会議場で開催されたバイオジャパン2006の「抗体の新展開」をテーマにしたセミナーで、スーパー抗体酵素の展望について解説。標的部位を特異的に認識し切断するというスーパー抗体酵素の特性を活かせば、新たな標的療法の確立、薬剤耐性菌に対抗しうる薬剤の開発、大気中のインフルエンザ除去などを実現できる可能性があると語った。

 抗体は一般的に、酵素作用は持たないとされている。しかし近年、酵素活性を持つ抗体の存在が報告されるようになってきた。HIVの外膜タンパク質gp41に対する抗体の作成を手掛けていた宇田氏らは、その過程で偶然gp41を切断する抗体を発見。スーパー抗体酵素と名付け、研究を進めてきた。

 スーパー抗体酵素がin vitroの実験系においてgp41を認識して切断することを報告。これが標的分子を破壊した世界で最初の例だったという。さらに宇田氏らは、HIVの感染成立に重要な役割を担うヒト側の因子としてケモカインレセプターのCCR5に着目。CCR5に対するスーパー抗体酵素を作製し、培地での検討において、CCR5が特異的に切断されることを確認した。

 宇田氏らは、ヘリコバクター・ピロリ(H・ピロリ)についても研究を進めている。アンモニアを産生して胃酸を中和させるH・ピロリのウレアーゼを認識し切断するスーパー抗体酵素を作製。マウスに投与したところ、H・ピロリ菌が減少することが明らかになったという。このほか、インフルエンザウイルスに対するスーパー抗体酵素の作製にも取り組んでいる。

 スーパー抗体酵素の可能性について宇田氏は、▽感染症や癌、花粉症、リウマチなどの疾患に対する新時代のターゲティング療法、▽抗生物質に替わって薬剤耐性菌に対抗できる数少ない有力な分子、▽ひとつの抗原を多方向から破壊する療法、▽大気中のインフルエンザ除去など生体外での活用、▽抗原検出のための新規バイオ素子――などに応用できる可能性があると話した。




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