仏サノフィ・アベンティスと非営利団体のDNDi(顧みられない病気のための新薬開発イニシアチブ)は、アフリカ睡眠病治療薬として有望な「フェキシニダゾール」の開発、製造、販売に関する協力協定を締結した。DNDiが臨床開発を実施し、サノフィが製造、承認取得、生産を担当する。
フェキシニダゾールは、DNDiが創薬段階から臨床開発段階に進めた初の化合物。ニトロイミダゾール系化合物の一つとして、アフリカ睡眠病に有望な経口抗原虫剤であることを見出した。昨年までに実施された非臨床試験では、昏睡状態に進行する重篤な睡眠障害など、第二期の症状に高い有効性が認められていることから、2009年上半期にはDNDiが第I相試験を開始する予定だ。
既にDNDiとサノフィは、07年にマラリア治療薬のアルテスネートとアモジアキンの合剤「ASAQ」を発売し、共同開発を成功させた実績がある。また、一つの薬剤で途上国向けの公共価格と民間価格で販売するモデルを実現している。今回の協定締結は、こうした協力関係を拡大するもので、DNDiとサノフィは、フェキシニダゾールが必要な全ての患者に非営利で提供する計画だ。
サノフィ・アベンティス医薬品アクセス部門バイスプレジデントのロバート・セバッグ氏は「DNDiと初めて協力して行ったASAQの開発が成功を収めたことにより、革新的な医薬品開発モデルを実践すれば、顧みられない病気に対応できることが実証された」と述べている。
アフリカ睡眠病は、ツェツェバエに刺されることによって伝染する熱帯病の一つで、治療を行われなければ確実に死に至る。サハラ砂漠以南のアフリカ36カ国に住む6000万人の生命を脅かしているとされ、大きな公衆衛生問題となっている。現在のところ簡便な治療法はない。