再春館製薬所は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)発のスタートアップであるWatasumi社(本社:沖縄県国頭郡恩納村)と、共同実証実験を開始したことを発表。今回の連携では、Watasumiが有する微生物燃料電池の技術を活用し、これまで処理が困難とされてきた防腐剤や多種多様な油剤、粉体を含む高濃度な化粧品廃液を分解すると同時に、バイオガスや電気等の再生エネルギーを創出。これにより、事業活動における環境負荷の抜本的な低減と、化粧品業界の持続可能な未来に向けたサーキュラーモデルの構築を目指す。
化粧品業界では、製造ロスなどが産業廃棄物となり、環境負荷とコストが課題となっている。特に、品質保持に不可欠な防腐剤や機能性を高める油剤・粉体(酸化チタン等)は微生物による分解が極めて難しく、単純な排水処理ができない大きな要因となっていた。
再春館製薬所は創業以来、「人間も自然の一部」という漢方理念に基づき、「自然との共生」を追求している。今回の取り組みは、この理念をより一層高いレイヤーで実践するもの。技術的な難題に挑戦し、廃棄物を価値ある資源に変えることで、環境との共生をより強固に実現することを目指す。
共同パートナーであるWatasumiは、OISTの研究成果をもとに設立されたスタートアップ。同社の技術は、微生物の力で高濃度の有機排水を分解しながらエネルギーを回収するという独自のものとなっている。Watasumiの技術は、これまで比較的単純な組成である飲料などの廃水処理で実績を重ねてきた。今回の実験は、成分が極めて複雑で“難分解性”の化粧品廃液を対象とする、世界の中でも先進的な挑戦になるという。
今回の取り組みは2026年7月より、ラボスケールでのテストを開始する。対象には、各製品のBOD/COD(生物化学的/化学的酸素要求量)測定を経た再春館製薬所の主力製品「ドモホルンリンクル」(26年1月リニューアル予定の新処方を含む)の廃液を使用。化粧品特有の様々な成分に対し、同技術がどこまで有効性を発揮できるかを検証していく。
今回のラボテストで得られる知見は、難分解性の化粧品廃液のエネルギー転換という、これまで化粧品業界の大きな壁であった課題を乗り越えるための重要な一歩となる。この成果をもとにパイロット実験へと進み、化粧品業界全体のサステナビリティを大きく前進させる革新的なモデルとして確立していく予定だ。
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