参議院厚生労働委員会は4日、医療法等の一部を改正する法律案をめぐって質疑応答を行った。この中で田村まみ委員(国民民主党)が衆議院で法案に追加された条文中の“電子カルテの普及率約100%”の“約”とはどういう意図なのかを修正提出者の伊東信久委員(日本維新の会)に質問した。
「約100%」は、医療法等の一部改正法案第4条「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律の一部改正」に追加された条文(第4項)に出てくる文言。以下のとおりである。
「第12条の3 前略
4 政府は、令和12年12月31日までに、電子カルテの普及率(電子診療録等情報その他の心身の状況に関する記録に係る情報に係る電磁的記録を利用する体制を整備している医療機関の全ての医療機関に対する割合をいう。)が約100パーセントとなることを達成するよう、クラウド・コンピューティング・サービス関連技術(官民データ活用推進基本法(平成28年法律第103号)第2条第4項に規定するクラウド・コンピューティング・サービス関連技術をいう。)その他の先端的な技術の活用を含め、医療機関の業務における情報の電子化を実現しなければならない。」
田村委員は、この“電子カルテの普及率約100%”に対して、「100%なのにあえて約をつけています。条文を見たときに、これは何を配慮されているんだろうと疑問に思いました。この約というのが一体どういう意図でつけられたか、そこをご答弁いただきたい」と質問した。
これに対して伊東委員は、「(前略)目的としては、国民に質の高い医療を効率的に提供していくという観点なんです。全国的に医療情報を共有できるという、画像とかMRIの情報とかそういった情報を共有できる環境を整備していくことがまずは重要であると考えているわけでして、その考えのもと、できる限り多くの医療機関に電子カルテを導入していただけるよう100%とせずに約100%としたものです」と答えた。
これに対して田村委員は、「大変難しい、なかなかもどかしい答弁だったなというふうに受け止めました」。
法令の条文で「約」がついたのは見たことがない。AIにきいてみると「約」は、法令での使用が基本的には避けられているという。理由は、解釈の幅が広がるなどのためだ。
「医療機器・化粧品」の記事に関するご意見・お問合せは下記へ。
担当者:河辺
E-mail:kawabe_s@yakuji.co.jp
TEL:03-3866-8499



















