製薬企業の最新情報をDB化
日立社会情報サービスは、医薬品の安全性情報を伝達する業務に特化した「医薬品安全性情報利活用サービス」について、医師や薬剤師などの医療従事者が同サービスに直接アクセスして、確認したい副作用の発現状況や転帰などを調べられるようにする仕組みを、製薬企業を対象に提案している。MRの訪問制限やMR不足などを背景に、医療従事者自らが副作用情報にアクセスできるようにすることで、迅速な情報提供、適正使用につなげられることを訴求する。これは製薬企業側のニーズに応えた提案で、すでに導入契約した社は3月から実施する予定だ。
より良い治療へ還元を
同社は、15年以上にわたり製薬企業向けの安全性関連ソリューションを展開している。同サービスは2021年4月から製薬企業を対象に提供を始めた。安全性データベースに蓄積された安全性情報の提供に特化したサービスだ。
このようなサービスは、「副作用データベースツール」とも呼ばれ、日本製薬工業協会の調査(対象75社、23年10月実施)では、導入を検討した28社のうち大手を含む10社が導入したと回答している。ツールには▽MRやコールセンターより案内する仕組み▽医療従事者がオンラインで直接閲覧できる仕組み――の2種類がある。
同社は、この2種類のいずれも提供可能だ。これまでは、製薬企業の安全性データベースに蓄積された国内外の医薬品安全性情報をPV(安全性情報監視)担当者からMR・コールセンター、MR・コールセンターから医療従事者への提供の提案を進めている。年々増大するPV部門の負荷軽減、MR・コールセンターから医療従事者へのより迅速で詳細な情報提供を可能にするサービスとして訴求している。
その中で今回、提案しているのが後者。製薬企業側が医療従事者にサービスへのアクセス権限を可能とし、医師や薬剤師などの医療従事者が必要に応じて同サービスに直接アクセスして、最新の副作用情報を確認する仕組みだ。これまでもあったサービスだが同社は、直接閲覧のニーズが高まっていると判断し、現在、製薬企業への提案を強めている。
医療従事者が確認したい医薬品名で自身のPC、タブレットといった端末を使って検索することで、副作用の件数、発現時期、転帰などを確認することができる。提供する情報は、製薬企業内で一定の評価、精査されたもの。データが独り歩きしないよう精査した情報を事実ベースで伝えることを想定している。提供情報の範囲は製薬企業の希望に応じて調整できる。
それにより同社は、▽医療従事者自らが副作用情報を確認したいというニーズに応える▽添付文書や適正使用ガイドには掲載されていない、医薬品販売後に発現し、精査された最新情報を提供できる▽それらの情報をタイムリーかつ迅速に提供できる――と説明する。それにより、患者へのより良い治療の提供につなげる。
こうした点について直近で導入契約をした科研製薬からは「本システムの導入により、最新の副作用情報を速やかに医療従事者に提供できるようになると期待しています。本サービスが医療従事者の方々の日々の診療の一助となれば幸いです」とコメントしている。
さらに日立社会情報サービスでは、医療従事者の情報の閲覧履歴を蓄積し、分析することで、関心や興味を抽出し、今後のMRなどによる情報提供活動に生かせると考えており、さらなる機能の拡張につなげたりしたい考えだ。
期待されるAIの活用については、非構造化データである症例経過などの文章情報をAIを使って構造化することで情報提供に生かすことも考えていきたいとしている。

北川氏
導入拡大に取り組む同社だが、今後の展開に向けてはエンタープライズサービス第3部の北川圭介氏は次のように話す。「同様の取り組みを内製的に行うにしても、いかにシステム化するかにあたっては、私たちには長年の経験とノウハウがあり、その認知をもっと業界において高めていく必要があると考えている。そして導入いただいたお客様からのご紹介をきっかけに弊社へお声がけをいただくケースもありこのような業界の横のつながりも大切にしていきたい」。今回導入契約したケースも、同社が長年のサービスと先行他社事例に対する信頼感によるものだと、同社は認識している。
さらに、今後はクラウド型のサービスを検討する意向も持っている。現在は会社ごとにサーバーを置いて提供するオンプレミス型だが、各社ごとに構築環境が異なるため、相応の時間がかかる。そこで導入期間の短縮を図るためクラウド型も検討の俎上に載せたいと考えているという。
最後に読者へのメッセージをいただいた。

上田氏
北川氏は「私たちはシステム開発のベンダーだが、社名に『社会情報』とあるように、私たちのノウハウ、技術力を生かして社会に貢献したいと考えている。人の生命と健康に関わる医療の一部に携わることができることをとても誇りに思っており、製薬企業様を通じて最終的には患者様のより良い治療に還元することを、このシステムによって実現したい」
また、エンタープライズサービス営業部の上田桃子氏は、「これまでの事業を通じて培ってきた知見により、安全性情報に知悉したスタッフが多数在籍しており、各製薬企業様が抱える個別の課題やニーズに対しても柔軟に応えることができる体制にあることも知っていただきたい」
医薬品安全性情報利活用サービス


















