
会見する日本バイオテク協議会・山田英氏ら
バイオテク関連企業20社が集結し、国内バイオベンチャーの活性化に向けた政策提言を行う「日本バイオテク協議会」が1日に設立された。会長には、アンジェスMG代表取締役社長の山田英氏が就任。当面は喫緊の課題として、「薬価制度改革への独自提言」と「未承認薬の共同開発」の2点に、重点的に取り組んでいく方針だ。6月30日に都内で開いた設立会見で、山田氏は「単独でバイオテク企業ができることは限られており、20社の発言力をもって、当局に積極的に提言を行っていきたい」と語った。
協議会は、約2年前にバイオテク企業6社の有志による「士(サムライ)会」として発足。薬価制度改革、未承認薬の開発促進に向けた財政支援の動きなどを背景に、バイオテク企業が連携し、産業政策に関して積極的に発言力を高めていく必要があると判断。士会を発展的に解消し、「日本バイオテク協議会」として再出発することになった。
今後、協議会では、当面の目標を薬価制度改革に向けた提言、未承認薬の共同開発推進と位置づけ、活動を進める。薬価見直し提言の柱は、イノベーショナルな新薬、治療法のない疾患に対する新薬、さらに希少疾病用医薬品、小児用医薬品に関して、メーカー希望価格で査定するという“メーカー希望価格制度”の実現にある。
山田氏は、「従来の薬価制度では、バイオテク企業の価値が必ずしも反映されていない」と強調。日本製薬団体連合会が提案している薬価制度改革案について、「総論としては同意できるが、バイオテク企業としてはインセンティブを考慮してもらうため、個別の議論にならざるを得ない」との考えを示し、前向きに提言を行っていく姿勢を強調した。
一方、未承認薬の共同開発に関して、山田氏は「具体的なことはこれから」としながらも、日本製薬工業協会が立ち上げた「未承認薬等開発支援センター」との協力も視野に、品目ごとに各社が役割分担して共同開発を進めていく方針だ。
バイオベンチャーが集結し、政策提言を行う団体としては、これまで「財団法人バイオインダストリー協会」「大学発バイオベンチャー協会」が設立されているが、山田氏は「従来の団体は、国レベルの大きな枠組みでの提言が多かったが、バイオテク企業として各論の提言を行う場はなかった」と指摘。「現在、各社の開発品目も充実してきた」として、具体的な活動に関する提言を行うことで協議会の立場を鮮明にしたい考えを明らかにした。
なお、協議会の役員は、以下の体制に決まった。
会長:山田英(アンジェスMG社長)、理事:中冨一郎(ナノキャリア社長)、岩谷邦夫(クリングルファーマ社長)、塩村仁(ノーベルファーマ社長)、監事:木村佳司(メディネットCEO)、米田博文(ロングライフ社長)