
感染症マネジメント支援システム「ExpertTWIN」
島津製作所はこのほど、名古屋市立大学大学院医学研究科感染症学・臨床感染症学分野、同東部医療センターの伊東直哉教授らのグループに協力し、感染症専門医への電子コンサルテーションを活用した、抗菌薬適正使用支援プログラムの実装効果を検証する研究を支援した。この研究では、感染症患者を受け持つ医療機関と感染症専門医をウェブでつなぐ同社製の感染症マネジメント支援システム「ExpertTWIN」が用いられた。
同研究グループは、感染症専門医が常駐しない500床の名古屋市大西部医療センターで、「ExpertTWIN」を活用した遠隔抗菌薬適正使用支援プログラム(tele-stewardship)を導入し、同東部医療センターの感染症専門医が遠隔症例を評価する仕組みを検証した。
24カ月間・入院患者2万7863人のデータを解析した結果、プログラム導入によりカルバペネム系抗菌薬の使用量が平均1.4DOT/100患者日減少したと推定された。遠隔で145症例を評価し、214件の提案のうち63.1%が実際の診療に反映された。一部の薬剤耐性菌の院内発生は減少方向、培養検体の提出率は増加方向の変化を示した。
今回の研究は、わが国で開発されたウェブ型感染症相談プラットフォームを利用したtele-stewardshipを実臨床に導入し、抗菌薬使用や薬剤耐性菌、検査指標などを包括的に評価した研究の一つとなる。
同研究グループは、感染症専門医が全ての医療機関に常駐することが難しい中、電子コンサルテーション(eConsult)を活用して専門医の知識を他施設へ届け、現場の抗菌薬適正使用支援チーム(AST)や薬剤師と連携する仕組みは、専門医不足を補完する実践的な選択肢となる可能性があるとしている。
一方、同研究は単施設の観察研究であり、評価対象には悪性腫瘍患者が多く含まれていた。また、遠隔相談を担当した感染症専門医の人数が限られていたこと、研究期間中に一部の抗菌薬供給制限があったこと、介入前の時系列データが12時点に限られていたことなどの限界があるとした上で、今後、多施設かつより長期間の研究により、他施設への一般化可能性や薬剤耐性菌への長期的な影響を検証する必要性を挙げている。
「ExpertTWIN」は、患者を受け持つ医療機関から専門医への相談および両者間の契約・支払い業務を効率化する、サブスクリプション(定額課金)の仕組みを備えた日本初のクラウドサービスとなる。
なお、研究成果は9月7日に国際学術誌「Antimicrobial Stewardship & Healthcare Epidemiology」に掲載された。
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