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【阪大グループ】HVJ-Eの臨床研究開始へ‐単独投与での抗腫瘍効果を検証

2009年7月9日 (木)

金田安史氏

金田安史氏

 紫外線照射によってゲノムRNAを破壊し、複製能力を失わせた不活化センダイウイルス粒子(Hemagglutinating virus of Japan envelope:HVJ‐E)が遺伝子治療用ベクターとして開発されている。金田安史氏(大阪大学大学院医学系研究科教授)らは、HVJ‐E自体に抗腫瘍活性があることを確かめ、近くメラノーマ、前立腺癌を対象に、臨床研究を開始することを明らかにした。2011年以降には、HVJ‐Eをベクターとした癌の治験も計画している。成績は都内で開かれた第25回日本DDS学会で発表された。

 HVJ-Eの臨床研究については、既にHVJ‐Eの薬効試験や毒性試験、GMP製剤化試験を08年に終えており、臨床研究のプロトコールについても、大学の倫理委員会で6月30日に承認されている。近く、メラノーマを対象にした第I相試験を開始する予定で、臨床試験を通して「安全性と抗腫瘍効果が見られたら、HVJ‐EをベクターとしたDDSの活用にも着手したい」と報告した。

 金田氏らはこれまで、HVJ‐Eそのものの抗腫瘍活性について研究を進めてきた。マウス大腸癌細胞を使って樹立した担癌マウスの実験では、HVJ-Eを腫瘍中に注射すると、5匹中3匹で腫瘍が消失。残存した腫瘍も著しく増殖が抑制されるとの結果が得られている。寛解したマウスに同じ腫瘍細胞を移植しても、全例拒絶され、「多彩な抗腫瘍免疫が活性化している」ことが認められている。

 詳細な作用メカニズムを調べた結果、複製能力を持つHVJと比べ、インターフェロンや代表的な炎症性サイトカインの産生・誘導は劣るものの、樹状細胞の成熟化については同等の能力があり、またIL-6の分泌能力も保たれていることが確認されている。

 それらの成績から、HVJ‐Eは樹状細胞の成熟化を介して、癌特異的な細胞障害性T細胞(CTL)を誘導すると同時に、IL-6がCTLなどの抑制に働く制御性T細胞の制御を解除することで、抗腫瘍免疫活性を示すと考えられている。

 また、金田氏らは、HVJ-Eが抗腫瘍免疫を活性化するだけでなく、癌種によっては直接作用し、細胞死を誘導することも見出している。ヒトの正常な前立腺上皮と癌細胞を比較した結果、正常細胞やホルモン感受性の培養細胞は抑制されなかったものの、ホルモン抵抗性のヒト前立腺癌培養細胞では、用量に応じて抑制が強くなる結果が得られている。

 さらに検討を進めたところでは、「ホルモン抵抗性の前立腺癌からは、HVJ-EによりIFNαやβが産生される」こたが分かり、最終的にホルモン抵抗性前立腺癌細胞はアポトーシスに陥った。

 それらの基礎的研究をベースに、臨床研究をスタートさせる予定で、既に医薬品製造を前提に、関連ベンチャーと連携し、新たなHVJ‐Eの製造システムも整えた。その臨床研究の成果が待たれそうだ。




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