厚生労働省が7日付で承認した新医薬品では、約10年ぶりに新規作用機序を持つ降圧剤となる「ラジレス錠」や高血圧症と高脂血症の両方を適応症とする世界初の配合剤「カデュエット配合錠」が登場した。
ラジレス錠:ノバルティスファーマ
「ラジレス錠150mg」(一般名:アリスキレンフマル酸塩)は、レニン系サイクルの起点に位置する酵素のレニンを、直接的に阻害する高血圧症治療薬。新規作用機序を持つ降圧剤としては、約10年ぶりに承認された。国内外の臨床試験では、1日1回の投与で、24時間以上の優れた降圧効果が得られ、プラセボと同等の安全性が得られている。既に世界70カ国以上で承認されている。
エンブレル注:ワイス
「エンブレル皮下注用25mg」(一般名:エタネルセプト)は、関節リウマチを適応とする完全ヒト型可溶性TNF受容体製剤。今回、既存治療で効果不十分な場合に限り、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎(JIA)患者への使用が認められた。また、10mgの新剤形を追加した。
レメロン錠/リフレックス錠:シェリング・プラウ、明治製菓
「レメロン錠」「リフレックス錠」(一般名:ミルタザピン)は、オランダのオルガノン(現シェリングプラウ)が創製し、シェリングプラウと明治製菓が共同開発したノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬。中枢神経のシナプス前α2‐自己受容体とヘテロ受容体に阻害作用を示し、ノルアドレナリンとセロトニン(5‐HT)の神経伝達を増強する。さらに、セロトニン受容体に対しては、5‐HT2、5‐HT3受容体を阻害し、5‐HT1受容体を選択的に活性化させることで、抗うつ効果を発揮する。
ゴナールエフ注:メルクセローノ
「ゴナールエフ皮下注用75、同皮下注ペン450、同900」(一般名:遺伝子組み換えホリトロピン・アルファ)は、遺伝子組み換えヒト卵胞刺激ホルモンを含有する不妊治療薬。これまでは男性不妊治療での使用に限られていたが、新たに「視床下部‐下垂体機能障害または多襄胞性卵巣症候群に伴う無排卵や希発排卵における排卵誘発」の効能を追加し、女性不妊治療の排卵誘発剤として使用できるようになった。既に世界100カ国で承認されている。
レミケード注:田辺三菱製薬
「レミケード点滴静注用100」(一般名:インフリキシマブ)は、クローン病や関節リウマチ(RA)などを適応症とする抗ヒトTNFαモノクローナル抗体。今回、初回投与から6週以後で効果不十分なRA患者に対して、投与量の増量と投与間隔の短縮が認められた。これにより、投与間隔は、現在の8週間から最短で4週間まで短縮でき、体重1kg当たりの投与量の上限は、従来の3mgから10mg、投与間隔を短縮した場合であれば6mgまで増量が可能となる。また、関節破壊の抑止効果で追加効能・効果を取得した。
プログラフ:アステラス製薬
「プログラフ」(一般名:タクロリムス)は、アステラス製薬が創製した免疫抑制剤。今回、新たにステロイド抵抗性・依存性を示す中等症・重症の活動期潰瘍性大腸炎の適応症を追加した。大腸粘膜で活性化T細胞から分泌される炎症性サイトカインを抑制することで、大腸の炎症を抑え、粘血・血便などの症状を改善する。
カデュエット配合錠:ファイザー
「カデュエット配合錠1番、同2番、同3番、同4番」(一般名:アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物配合剤)は、持続性カルシウム拮抗薬「アムロジピン」とHMG還元酵素阻害剤「アトルバスタチン」を配合し、高血圧症と高脂血症の治療を1錠で可能にした世界初の薬剤。高血圧症と高脂血症の併発患者を投与対象とし、アムロジピン2・5mg、5mgとアトルバスタチン5mg、10mgをそれぞれ組み合わせた4剤形が承認された。
アボルブカプセル:グラクソ・スミスクライン(GSK)
「アボルブカプセル0・5mg」(一般名:デュタステリド)は、英GSKが開発した5α還元酵素阻害作用を持つ新規前立腺肥大症治療薬。I型・II型の5α還元酵素を阻害することで、男性ホルモンのテストステロンから高活性物質のジヒドロテストステロン(DHT)への変換を抑制。その結果、肥大した前立腺を縮小し、下部尿路症状の軽減や尿流の改善を実現する。2001年に米国で承認され、現在、世界85カ国で承認されている。