厚生労働省保険局調査課は17日、2008年度の医療費(概算医療費)動向を発表した。医療保険適用と公費を合わせた概算医療費は34・1兆円で、前年度から1・9%増えた。稼動日数を補正した伸び率は2・2%で、診療報酬全体の0・82%引き下げ分を踏まえると、3%台といわれる自然増と概ね同水準になった。調剤医療費は5・4兆円で、前年度比5・3%増と高い伸びを見せ、概算医療費に占める割合も、前年度より0・5ポイント増の16・0%となった。
概算医療費は、国民医療費の98%を占め、このうち医療保険適用が32・5兆円、公費が1・6兆円となっている。
また、調剤の概算医療費を分析するため、厚労省が集計した電算処理分の調剤医療費をみると、処方せん1枚当たりは7561円で、前年度から3・3%増加。内訳は、薬剤料が5565円と73・6%を占めて最も多く、このうち内服薬が4713円と8割以上となっている。また、技術料は1984円で26・2%、特定保険医療材料料は12円で0・2%だった。対前年度比は薬剤料3・3%、技術料3・1%、材料3・7%の増加で、大きな差はなかった。
処方せん1枚当たり電算調剤医療費は、年齢と共に高くなる傾向が見られ、0~4歳の3005円と75歳以上の9491円では3倍の開きがある。また、対前年度伸び率は30歳代後半が4・6%と最も高く、15歳未満や高齢層では比較的落ち着いている。
内服薬の1枚当たり薬剤料を分解すると、[1]1枚当たり薬剤種類数が2・85種類で対前年度比0・8%増[2]投薬日数が18・8日で5・3%増[3]1種類1日当たり薬剤料88円で3・0%減--となっている。
投薬日数の伸びは、それまで3%台だったが、08年度に大きく伸びた。厚労省は要因について、「08年4月に催眠鎮静剤、抗不安剤に分類される一部の医薬品の投薬日数の制限が緩和されたこと等の影響」としている。薬効分類別の投薬日数では、腫瘍用薬が32・5日で最も長いが、伸び率は中枢神経系用薬の10・1%が最高で、中でも睡眠鎮静剤・抗不安剤が18・7%が突出して高い。逆に投薬日数が最も短かったのは抗生物質製剤の5・7日だった。
また、内服薬に占める後発品の割合は、薬剤料ベースで6・3%へ0・8ポイント上昇し、数量ベースで18・0%へ1・9ポイント上昇した。
薬効分類別に薬剤料ベースの比率をみると、ビタミン剤の44・6%が最も高く、次いで呼吸器官用薬の14・2%、血液・体液用薬の8・3%が高い。最低は腫瘍用薬の1・4%。前年から伸びているのは、消化器官用薬の1・4%、循環器用薬の1・3%、ビタミン剤の1・2%など。泌尿生殖器官・肛門用薬は0・6%減っている。