薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会の安全対策調査会は、便秘薬として広く使われている「酸化マグネシウム」と、鼻炎用点鼻薬の「フマル酸ケトチフェン点鼻剤」の2成分について、一般用医薬品のリスク区分を審議。酸化マグネシウムは、現行の「第3類」のままとし、フマル酸ケトチフェン点鼻剤は現行の「第1類」から「第2類」に引き下げることを了承した。今後、安全対策部会での審議を踏まえ、正式に了承される見込み。
酸化マグネシウムは、昨年11月に発行された医薬品・医療機器等安全性情報で、医療用医薬品の服用が原因とみられる高マグネシウム血症の副作用が15件(死亡2例)あり、厚労省は医療用と一般用について、使用上の注意を改訂し、注意喚起を行っていた。さらに、添付文書改訂に伴い、一般用のリスク区分の変更を検討する必要性が生じたため、安全対策調査会で現行の「第3類」から「第2類」に引き上げるかどうか、審議することになっていた。
調査会では、日本マグネシウム学会が、死亡した2例とも酸化マグネシウムの服用で、高マグネシウム血症を呈したものの、甲状腺機能亢進や認知症などの基礎疾患を有する「極めて特殊な病態下にあった高齢者で、死亡との直接的な因果関係は証明し得ない」と説明。また、年間延べ4500万人が使用していることや、50年以上使用され安全性が確立しているなど、専門家による情報提供の努力義務がない「第3類」に据え置くよう求めた。
委員からは、「第2類」への引き上げを求める意見も出たが、厚労省は、死亡2例が特殊な病態の患者だったことに加え、既に使用上の注意を改定するなどし、医療現場や消費者に注意喚起していることなどを踏まえ、当面は現行の「第3類」に据え置くことを提案。今後も引き続き安全性に関する情報収集に努めた上で、必要に応じてリスク区分の見直しを検討することで、委員も了承した。
フマル酸ケトチフェン点鼻剤については、05年11月から08年10月までの3年間の製造販売後調査で得られた副作用などの情報を、ノバルティスファーマが評価・検討。「安全対策上、特に問題となる事項はなく、現時点において特に対応は必要ないと考えられる」と結論づけたため、調査会ではリスク区分を「第1類」から「第2類」に引き下げることを決めた。