販管費、引き続き6%台

経営状況結果を発表する別所会長(中央)
日本医薬品卸業連合会は10日、2009年4月現在の卸経営に関するアンケート調査結果(速報)をまとめた。それによると、[1]70社の売上総利益率は、前年の8・07%から一気に1ポイント減少して7・09%と再び7%台に逆戻り[2]昨年6%台に突入した販管費率は6・78%と順調に低下[3]07年に1%台を達成した営業利益率は、今回一気に3分の1以下の0・31%に減少――など、これまでの卸企業の決算を裏打ちする厳しい内容が明らかになった。
別所芳樹会長は、「4年前と同様に大幅減益を繰り返したことは残念だが、社会的流通コストの低減、安全性の確保など卸が果たすべき社会的役割に対する経営者の意識、危機感が急速に拡大している」と述べ、今期の流通改革を含めた経営回復に対する姿勢が、昨年から大きく変化していることを強調した。
また、欧米に比較して高いとされる売上総利益率については、「世界に冠たる日本型の卸ビジネスモデルが、得意先とメーカーに役立ち、社会的コストを抑え価値を提供しているエビデンスを示し、世間や世界にアピールしていきたい」とし、卸が果たす役割の対価でマージンが変わってくることを、社会に認知してもらえることを目指す考えを述べた。
37回目となる今回のアンケートは、09年4月現在の経営状況を把握することを目的に実施されたもので、対象は構成全会員112社(前年115社)、回答数・率は70社(69社)・62・50%(60・00%)だった。
70社の事業所数は1518(1568)で、従業員数は5万0219人(3万8377人)となっている。
従業員数が大幅に増加しているのは、今回から算出方法を変えたためで、昨年までの正社員数だけでなく、労働実態(特に物流)に近づけるため、正社員以外の従業員数を週30時間以上勤務を1人、未満を0・5人と換算している。これによって、生産性の数値などへ大きく影響していることに注意が必要だ。
売上実績を見ると、70社の年間総売上高は8兆0694億5300万円(69社7兆9934億4300万円)で、年間医薬品売上高は7兆3526億6400万円、医家向け売上高7兆0574億7500万円となっている。
経営主要指標では、売上総利益率が対前年0・98ポイント減少し、販管費率が0・17ポイント減少したことから、営業利益率は0・81ポイント減の0・31%へと激減していることが特徴となっている。
また、従業員数の伸び率は算出方法の違いによって、前年のマイナス0・47%から29・83%に急増しているが、前年と同様の算定ではマイナス1・06%となる。
この影響は販売生産性でも同様で、前年の1728万9000円から22・44ポイント減少して1341万1000円となった。
MSの販売生産性が、平均で前年の3542万1000円から3673万3000円に増えていることは、今回加算された従業員数の多くが、MS以外の従業員であることを意味する。
経営管理委員会の枝廣弘巳委員長は、今後の課題として、流通改善の緊急提言の実現と適正利益の確保、販管費の削減努力、債権管理の強化を挙げた。特に適正利益の確保に関しては、メーカーに対して仕切価への統一的な考えに基づき、実質的に仕入価が下がるような対応を求めた。
そのほか、新型インフルエンザへの対応では医薬品卸の果たす役割が大きいことや、バーコード等IT化の推進への対応が必要、返品問題も大きな課題だと指摘した。