日本プライマリ・ケア学会の「プライマリ・ケア認定薬剤師」制度が、22日に京都市で開かれた同学会総会で承認され、正式に発足した。同学会主催の研修や指定講座などを受講して50単位以上を修得し、試験に合格すれば認定される。当初は学会員を対象とするが、3~4年以内をメドに薬剤師認定制度認証機構(CPC)の特定領域認定制度の認証を取得する考えで、将来は、学会員に限らず広く薬剤師に開かれた制度になる予定だ。
プライマリケアは、国民の健康や病気、福祉に対して、総合的、継続的な医療を実践しようという概念。患者を一人の人間として総合的に診療し、必要があれば他の医療機関に紹介するほか、医療や福祉のチーム体制も重視する。薬剤師は、地域医療の担い手、健康相談の窓口などとして存在感が高まっており、その役割や能力を高めるのが、認定制度の狙いだ。
認定制度は約6年前から検討が始まった。2003年、同学会に「薬剤師研修制度に関する委員会」が発足。各学会でのシンポジウムや研修会の開催、出版物の刊行を通じて、プライマリ・ケアの概念のもとに、薬剤師が果たす役割の意義を周知すると共に、制度の骨格を詰めてきた。
認定制度の要綱は22日の総会で承認され、来年の春までに細則を決める。その後、3~4年後と想定される第1号の認定に向けて、試験の詳細などを固めていく。「プライマリ・ケア専門薬剤師」の認定も検討される見通しだ。
同学会と日本家庭医療学会、日本総合診療医学会の3学会は来年合併し、新たな学会が発足するが、この認定制度は引き継がれるという。
認定制度は3~4年以内に、CPCの特定領域認定制度の認証を得たい考え。同学会の会員のうち薬剤師は約100人だが、CPC認証を得ることで、将来は学会員に限らず全ての薬剤師に開かれた制度となる予定だ。
認定の要件・手順は、[1]同学会に研修開始の届出を行う、[2]各研修を受講し4年以内に50単位以上を修得する、[3]レポートを提出する、[4]試験に合格する、[5]審査を経て認定を受ける――というもの。認定資格は3年ごとに更新される。3年間に30単位以上を修得し、事例報告を提出することが、更新要件となっている。
単位修得の対象研修や講座は、▽同学会が主催する認定薬剤師研修講座、医療研修セミナー、eーラーニング▽同学会の学術大会▽同学会の地方会、支部会、関連研究会の講演・研修――と、幅広く設定された。また、同学会の認定医、専門医、指導医による外来診療や訪問診療の見学実習も行われる計画だ。
学会主催研修としては、今年10月24、25日に東京で開催される秋季実践セミナーが、最初の対象になる。
このほか、CPCの認証を受けた生涯研修認定制度、特定領域認定制度や専門薬剤師認定制度の研修のうち、同学会が指定した講演、シンポジウム、eーラーニングなども、単位修得の対象になっている。
薬剤師あゆみの会のeーラーニング、明治薬科大学の生涯学習講座などを研修対象として指定する計画。さらに、各地の禁煙講習会、在宅医療に関わる薬剤師らが参加するHIP研究会のフォーラムなども対象になる予定だ。