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スウェーデンのPCGが国内EDC市場に本格参入‐北欧以外で初の海外拠点

2009年09月01日 (火)
カポネン日本支社代表(左)とブロムベルグソン副社長

カポネン日本支社代表(左)とブロムベルグソン副社長

 スウェーデンのEDCベンダー「ファーマ・コンサルティング・グループ」(PCG)は、8月に日本支社を立ち上げ、本格的に日本市場に参入した。2003年に創業した同社は、北欧でCRO事業を展開すると共に、独自のEDCシステム「ヴィードック」を販売。昨年には、北欧以外のグローバル展開を決定し、市場投入を開始した。国外初の拠点を設置した日本でも、EDCシステムの販売拡大を狙う。PCGジャパンの代表取締役に就任したトーマス・カポネン氏は、本紙のインタビューに応じ、「まだEDCの使用頻度が低い日本には大きな機会がある。機能的に使いやすいヴィードックの利点をアピールし、段階的に採用を増やしていきたい」と国内シェア獲得に意欲を示している。

 PCGは、ローカルとグローバルの両面展開を基本に、北欧各国では臨床開発、データマネジメント、統計・解析等のCRO業務に特化し、グローバルではEDCベンダーとしてヴィードックを販売する事業戦略を掲げる。昨年度の売上高は約4億円、2009年度は約5億円を見込み、順調な成長を続けている。

 独自開発したヴィードックは、治験責任医師やCRCなどユーザーの使い勝手を重視したEDCシステム。簡単な操作で使いやすいだけでなく、容易なトレーニングで覚えやすいのが最大の特徴だ。セットアップも2週間以内と短期間に完了でき、複雑な治験にも柔軟な対応が可能となっている。臨床試験データ交換仕様の世界標準CDISCにも対応済みである。

 こうしたユーザーの使い勝手を強みに、昨年から北欧以外へのヴィードックの販売開始を決定。本格的なグローバル展開に乗り出している。既に欧州各国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、米国、日本など世界27カ国、160件の臨床試験に使用され、12の言語に翻訳が行われるなど、急速に浸透が図られている。

 特に日本に関して、PCGは国内製薬企業の欧州治験を支援した実績や、30回以上の訪日によって関係者と密接な関係を構築してきた。こうした経験を背景に、日本市場にヴィードックの高いニーズがあると判断。スウェーデン以外で初めてとなる国外拠点として、「PCGジャパン」を東京に設立することになった。

 カポネン氏は「まだ欧米に比べてEDCの使用頻度が低いことを考えると、日本にオフィスを設立することは自然の流れだ」と話す。これまでの訪日経験によって、個人的に築き上げた人的ネットワークも、日本進出を後押ししたようだ。

 既に日本では、CROのスタットコム、神戸の先端医療振興財団にヴィードックが採用され、EDCシステムを用いた臨床試験プロジェクトが進められている。さらに年内には、数社と契約が締結できる見込みで、PCGジャパンの設立によって販売を加速させたい考えだ。

 臨床データマネジメント担当副社長のヘンリク・ブロムベルグソン氏は、「これまで多くのユーザーから非常に使いやすいと評価をもらっており、われわれは確かな製品として広く使用されると自信を持っている」と強調する。現在、世界的には、米メディデータの「Rave」が世界標準のEDCとしてシェアを拡大しているが、ブロムベルグソン氏は「われわれとしては、いかにユーザーフレンドリーなシステムを提供することに焦点を当てることが重要」と述べ、差別化によるシェア獲得に自信を示した。

 日本にオフィスを設立したPCGは、今後CROとEDCベンダーの強みを生かし、依然としてEDCの普及率が低い日本市場に攻勢をかける。カポネン氏は「慎重にEDCシステムを選択する日本のユーザーの考え方は、ヴィードックの製品特徴に合っているし、日本のEDC普及率が低いことは、われわれにとって日本市場は非常に大きな機会だと考えている」と期待を語っている。

 当面は、ヴィードックを用いた時間とコストの削減効果をアピールし、段階的にユーザーを獲得しながら、日本での存在感を高めていく方針。また、スウェーデンのEDCベンダーとして言語の問題にも対応。カポネン氏は「われわれのアプローチの一つに、グローバルと同時にローカルの支援を提供していく考え方がある」とし、日本語でヴィードックのトレーニングに対応可能な人材育成にも取り組む考えを示した。

 最近、PCGは、米ファイザーのグローバル製造販売後臨床試験プロジェクトで、ヴィードックの受託に成功。世界700施設、約1万4000例の大型契約を締結し、EDCベンダーとして確かな評価を得た。こうした実績も背景に、日本市場への浸透を図っていくのが課題だ。



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