日本医師会は定例会見で、医療費動向・受療動向などをリアルタイムで把握・解析するため、厚生労働省の社会医療診療行為別調査とほぼ同程度のデータを、定点で月次収集する「定点調査研究事業」を開始すると発表した。今月から10020の診療所・病院を対象に試行運用を開始、来年5月をメドに本格運用へつなげたい考え。
厚労省の社会医療診療行為別調査は、単月のデータを分析対象としているのに対し、この事業では厚労省の調査とほぼ同等のデータを毎月定点で収集し、集計結果も毎月公表することを目指す。
日医では同事業により、医療費や患者の受療行動をリアルタイムに把握することのほか、診療報酬改定前後で影響を評価することが可能になるとしている。また診療科別、診療行為別、病名別、薬剤別、地域別などの特性や状況を分析し、日医の政策提言に反映させていく方針だ。
対象となるのは、診療報酬請求用コンピュータ(レセプトコンピュータ)として、「日医標準レセプトソフト」(日レセ)を利用し、かつ事業への参加を表明した医療機関。現在までに日レセを使用しているのは2745医療機関で、導入を進めている医療機関も500以上ある。
収集するデータは、▽医療機関プロフィール(診療科、病床数、各種診療報酬点数の届出状況など)▽個人が特定できる部分を削除したデータ(レセプト電算データ+院外処方分+自費分)――など。
実施スケジュールについては、今月から10020の診療所・病院を対象にした試行運用を開始する。それにより、運用体制・アウトプットや分析体制などを確認・整備し、来年5月からの本格運用開始を目指す。日レセを導入している全医療機関を対象にして参加を募り、参加医療機関が十分増えた段階で、都道府県単位、診療科別等の解析結果の公表に踏み切る予定だ。日医では参加医療機関が十分に増えた段階に関して、「500とか1000を目標にしたいが、少なくとも数百」と話している。