厚生労働省は、新型インフルエンザワクチン接種の基本方針を発表した。今年度内に国産2700万人、輸入5000万人の計7700万人分のワクチンを確保し、[1]医療従事者(約100万人)[2]妊婦と基礎疾患を有する者(約1000万人)[3]1歳~小学3年生に相当する年齢の小児(約1000万人)[4]1歳未満の小児の保護者、優先接種対象者だが身体上の理由でワクチン接種が受けられない者の保護者(約200万人)――の順で、優先接種することなどが柱。国産ワクチンは19日から順次接種を始め、輸入ワクチンは12月末から1月に開始する予定。
基本方針は、政府が1日に開いた新型インフルエンザ対策本部で決定したもの。会議の冒頭、あいさつした鳩山由紀夫首相は、「インフルエンザは秋から冬に流行が広がるもの。対策本部でしっかりとした対策を打ち出すのが肝要」と述べた。
ワクチン接種については、10歳未満で重症化する症例が相次いだことなどを受け、▽小学校4~6年生、中学生、高校生に相当する年齢の者(約1000万人)▽65歳以上の高齢者(2100万人)――の計3100万人も、優先接種者の次に優先することとした。これにより、優先接種対象者は約5400万人となる。
接種費用は1回目が3600円、2回目が2550円の計6150円で自己負担となる。ただ、1回目と異なる医療機関で接種する場合は、基本的な健康状態の確認が必要となり、診察料が新たに上乗せされるため、2回目も3600円となる。
現時点で、ワクチンの接種回数は2回を前提としているが、今後の臨床試験の結果などを踏まえ、1回でも効果が十分あることが分かれば、10月下旬以降、接種回数を見直す可能性もあるという。
また、輸入ワクチンは、国産ワクチンと製造方法、成分、接種方法が異なるため、有効性・安全性が異なる可能性がある。輸入交渉しているグラクソ・スミスクラインとノバルティスは、副作用被害による訴訟が起きた場合の賠償金などを、国が肩代わりするよう求めており、予防接種法に準じた救済制度を創設するための特別法案を、秋の臨時国会に提出する方針。