日本薬剤師会は、2008年度(08年3月~09年2月分)「保険調剤動向」をまとめた。処方せん受取率(分業率)は前年度を1・9ポイント上回り、59・1%と、60%にさらに近づいた。伸び率自体は依然として鈍化の傾向にあるが、分業率が30%台の自治体が昨年よりも3県減少しており、日薬は「着実に分業は進んでいる」と分析した。また、調剤金額は前年度から5・2%増加し、5兆1730億7072万円と、初めて5兆円を突破し、処方せん1枚当たりの金額も7450円(前年度比3・6%増)と、前年度に引き続き7000円を越える結果になった。08年度は診療報酬改定の年だったが、06年度のような大幅改定ではなかったことから、日薬では、調剤金額や処方せん1枚当たりの金額への影響は特にみられないとしている。
08年度(全保険・速報値)は、調剤件数が5億0641万2818件(前年度比3・8%増)、処方せん枚数は6億9435万8884枚(1・6%増)だった。
分業率が70%を越えた県は、秋田県(77・3%)、神奈川県(73・9%)、佐賀県(72・7%)、新潟県(71・1%)、宮城県(70・2%)の5県で、前年度より2県(新潟県、宮城県)増えた。
一方、分業率が40%に満たない県は、福井県(27・3%)、和歌山県(34・6%)、京都府(37・9%)、徳島県(39・5%)の1府3県で、特に福井県は、前年度より1・3%増と低い水準になっている。しかし、分業の遅れている自治体の中でも、前年度は30%台だった富山県(40・7%)、石川県(41・7%)、愛媛県(40・7%)は、40%台となった。
件数・枚数・点数の伸び率では、調剤件数で滋賀県(前年比8・2%増)、石川県(7・6%増)、富山県(7・2%増)が目立った。
処方せん枚数では、9県で前年度実績を下回り、特に鳥取県と宮崎県では、減少率が共に2・1%と高かった。さらに、増加率が0~1%未満だった自治体も、秋田県や北海道など7道県あった。
調剤金額については、全ての県で増加しており、特に滋賀県(11・0%増)は唯一の二桁増となったほか、石川県(9・8%増)、富山県(8・9%増)などが目立っている。
また、処方せん1枚当たりの金額は、平均7450円だが、都道府県間の差が大きく、最高と最低で3865円の開きがあった。最も高いのは、石川県の1万0045円で、次いで、福井県の9791円、京都府の9307円が続く。反対に、最も低かったのは、佐賀県の6180円で、ほかに福岡県、熊本県、鹿児島県など9県が6000円代だった。