アレクシオンファーマのヘルマン・ストレンガー社長は10日、都内で記者会見し、希少疾患の発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬「エクリズマブ」の販売戦略を明らかにした。2010年の承認取得、発売に向け、約80施設の治療基幹病院(センター・オブ・エクセレンス)を確立すると共に、顧客担当者を最大20人体制に拡大し、PNHの疾患啓発活動と情報提供を両面で進めていく。ストレンガー氏は「まず約250の地域医療施設をターゲットに、PNHの診断が適切に行えるようサポートしていきたい」と語った。
エクリズマブは、血管内溶血を引き起こすC5補体蛋白に対するヒト化モノクローナル抗体で、慢性的に赤血球が破壊されるPNHに有効な唯一の治療薬。既に世界14カ国で「ソリリス」の製品名で販売されているが、国内では3月に承認申請を行った。
ストレンガー氏は、エクリズマブの国内戦略について、血液内科医にPNHの疾患啓発を行うと共に、PNHの診断に高い専門性がある約80の治療基幹病院を確立していく方針を明らかにした。来年の発売開始までに治療基幹病院のコア施設を固める予定で、同時にエクリズマブの情報提供を行う顧客担当者(メディカル・カスタマー・ケア)を、最大20人体制に拡大する。
既に7人を採用済みで、いずれも製薬企業のマーケティング担当者、プロダクトマネジャー経験者など、精鋭が揃った。今後も高いレベルの人材確保にこだわり、少人数で効率的なメディカル・カスタマー・ケア機能を構築する考えだ。ストレンガー氏は「通常のMRとは違い、1人で40施設はカバーできる」とし、まず、地域の約250施設をターゲットに情報提供を進めたい」と方針を語った。
稀少疾患のPNHは、適切な診断と治療が行われていないのが現状。そのため同社は、メディカル・カスタマー・ケアによる血液内科医への疾患啓発、情報提供を進めると同時に、研究会の開催によって、潜在的なPNH患者を掘り起こしていく方針。また、適切な診断と治療が行える治療基幹病院を確立することで、エクリズマブによるPNH治療を普及させたい考えだ。