退院時共同指導の実施率はわずか5・5%で、実施予定を加えても1割に満たないことが、日本病院薬剤師会が会員施設に対して行った「退院時指導業務に関する現状調査」で判明した。2008年度診療報酬改定で、「退院時共同指導料」が新設されたが、十分に機能していない結果となった。
調査は、全国の日病薬会員施設を対象に、▽退院時共同指導▽後期高齢者退院時指導▽薬剤管理サマリー--に関する現状についてアンケート方式で行われ、998施設中658施設(回収率66・1%)から回答があった。
それによると、退院時共同指導の実施率は5・5%で、今後実施予定施設を加えても9・0%と、1割に満たなかった。
病院と地域薬剤師会との連絡実施率は16・7%で、実施予定の22・2%を含めると、40%近くの施設が連携を図っていた。ただ、連絡に薬剤師が関与していたのは34・6%だった。
実施していない理由としては、「退院時共同指導の体制が整っていない」76・8%、「退院後に訪問薬剤管理指導を担う薬局が近隣にない」17・1%、「療養指導等を共同で行う必要のある患者がほとんどいない」12・4%だった。今後の普及について肯定的な意見は12・9%、どちらとも言えないが60・3%、否定的な意見も21・4%に及んだ。
また、退院時共同指導を行う際の院内での職種連携では、一般的には看護師や医師などとの協働が考えられるが、実際には最も栄養士と協働していることも明らかになった。このほか、療養病床・院外処方型・外科標榜がない施設で、病院薬剤師の参加が多かった。
お薬手帳‐低い入院時の持参割合
一方、薬剤管理サマリー・お薬手帳の活用に関する調査では、薬剤管理サマリーを「知っていた」が37・8%、「知らなかった」が62・3%と、認知が進んでいない結果となった。特に、療養型施設での認知が低い傾向が見られている。
薬剤管理サマリーを作成しない理由(複数回答)としては、「時間がない」44・7%、「薬剤情報提供書やお薬手帳で十分」42・4%、「薬剤管理指導を全員に実施できていない」36・5%だった。
また、お薬手帳を持参する割合は、10%未満が603施設中355施設と58・9%を占め、お薬手帳の有効利用が十分に行われていない現状も示めされた。