武田薬品の長谷川閑史社長は20日、都内で開いた新春懇談会で、大型主力製品の米国特許切れを迎える「2010年問題」について、「これまでパイプラインの強化に向け、万全の準備をしてきたつもりだが、残念ながら開発中止や大幅な承認延期を余儀なくされる例が続出し、現時点では十分な答えを描き切れていない」と厳しい認識を示した上で、「隔靴掻痒の感はあるが、焦らずにじっくりと腰を据え、質を十分に担保した研究開発で、一つひとつの製品をきっちりと仕上げる努力を続けたい」と強調。“急がば回れ”の方針で難局に挑んでいく方針を示した。
武田薬品は11年、米国で消化性潰瘍治療薬「プレパシド」、糖尿病治療薬「アクトス」の特許切れに直面する。ただ、次期主力製品と位置づけていたDPP‐4阻害薬「SYR‐322」の承認が12年以降にずれ込み、苦しい状況が続いている。長谷川氏は「ある時期には、相当の準備ができたと考えたこともあったが、現時点で十分な答えを描き切れていない」と、対策が道半ばであることを認めた。ただ、「やれることはそれほど多くはない」と述べ、質を重視した研究開発、新興国戦略を着実に実行していく考えを示した。
特に昨年、自販体制を拡大した新興国戦略に関して、「買収で一挙に解決しようと努力したが、なかなかメドがつかない」と苦戦している現状を明かす一方、「まず自前でやれるところからやっていく。そういった戦略を着実に実行することで、苦しい中でも将来の布石をきっちり打っていこうと考えている」と述べ、自販体制の構築に活路を見出していくとした。