厚生労働省は、昨年6月の改正薬事法施行で大きく変わった一般薬の販売方法に関するQ&Aをまとめた。都道府県などからの問い合わせが多かった医薬品の陳列をはじめ、薬局や薬店内で掲示すべき事項、店舗内に複数の情報提供場所がある場合に満たすべき要件、郵便販売規制などについて、行政の見解を示している。Q&Aは、9日付で都道府県や関係団体に発出した。厚労省は、問い合わせ内容が多岐にわたるため、「数種類作成する予定」としており、作業が済み次第、順次発出していく。
新販売制度で義務づけられている、リスク区分に応じた医薬品の陳列については、必ずしも区分ごとに棚を分けたり、仕切りを設ける必要はないとの見解を示した。購入者から見て紛らわしい陳列方法とならないよう、適切に対応することを求めた。
薬局や薬店などで、情報提供を行う設備が複数ある場合に満たすべき要件も示した。情報提供を行う設備は、原則として、薬局構造設備で規定されている要件を全て満たす必要があるが、複数の設備を有する場合は、複数の設備を一設備とみなして全ての要件を満たすことで足りるとした。
例えば、情報提供の場が3カ所あるような店舗では、第1類薬の近くに情報提供の場を設けるという要件を満たせないケースが出てくる。そのため、3カ所のうち、1カ所が全ての要件を満たしていれば条件をクリアする。
全ての情報提供場所を第1類薬の近くに設けるとなると、大がかりな改装が必要になってしまう店舗も出てくるため、現場の実情を考慮した。
薬局や薬店内における掲示事項では、勤務する全ての薬剤師、登録販売者の氏名を記載した上で、その営業時間中に、現に勤務している専門家が分かるように表示することを求めた。なお、薬局に掲示すべき専門家の氏名は、薬剤師免許や販売従事登録証を掲示すれば、改めて別に掲示する必要はなくなる。
消費者が、「買物代行」を行う場合の見解も示した。例えば、具合が悪くなった本人に代わって家族などが薬局に行き、薬剤師や登録販売者から対面での情報提供を受けた上で代金を払い、医薬品をわたす限りにおいては問題ない。
しかし、「買物代行者」が入手した医薬品を、本人に配送した場合は違反となる。これは、「郵便販売にかかる規制を想定したもの」(厚労省)だという。
専門家以外の一般従事者が白衣を着用することの是非については、都道府県だけでなく、一般の消費者から問い合わせが寄せられた。厚労省は「購入者に誤認を与える恐れがあり、適切でないと考える」との見解を示した。
登録販売者の受験資格の一つである、“高校卒業程度”の解釈についての問い合わせも多かった。高等学校卒業程度認定試験(旧大検)に合格していれば、差し支えないとの見解を示した。
医薬食品局では、新販売制度のスタートを間近に控えた昨年5月に、改正薬事法に関する局長通知を発出したが、都道府県などから運用面での問い合わせが多く寄せられたため、制度の円滑施行に向け、Q&Aの作成を進めていた。