先週12日、ようやく次期診療報酬が決定した。当初、政権交代に伴う中央社会保険医療協議会の新委員選定の遅れ等で、審議日程は飛んだが、昨年10月末に中医協が再開された。その後、日程の遅れを取り戻すべく週2回のペースで会合を開き、年末には政府が大枠引き上げの方針を打ち出し、先の総会で点数配分がまとまった。最終的には、例年並みのスケジュールに力ずくで戻したという印象だ。
肝腎の中身はといえば、前回のマイナス改定から一転しプラス改定となった。病院重視ということから、診療・支払側で評価が前回改定同様に割れた。さらに診療側でも、総枠が足りない中で「診療所」から「病院」に持っていく考えは極めて危険と、医師代表委員が反発した。
調剤については、調剤基本料の実質「一物二価」が崩れることはなかった。本紙が例年、新年に発表している「保険薬局調査」でも、「調剤基本料の例外規定廃止」を「望まない」とするのは72%に上ったが、“例外薬局”の77%が望むとした意向は再び“お預け”となった。
ただし、“例外”の「月4000回超の基準」に該当するか判断する際、受付回数から▽時間外加算▽休日加算▽深夜加算▽夜間・休日等加算▽在宅患者訪問薬剤管理指導料▽在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料▽在宅患者緊急時共同指導料▽居宅療養管理指導費(介護保険)▽介護要望居宅療養管理指導費(同)――の処方せんを除外するとし、地域医療や在宅医療への貢献を評価している。
とはいえ「一物二価」に変わりはなく、「患者から見て分かりやすく納得でき、安心・安全で、生活の質にも配慮した医療を実現する視点」という意味では、数年来の目標は達せられなかった。一方の再診料の改定は「一物一価」の焦点ともいえる。2012年度改定こそは、待ったなしだろう。少なくとも明細書発行の全患者への原則無料化もあり、細かく追求してくる患者が出てくることは想定する必要があろう。
一方、従来病院薬剤師において評価されていたハイリスク薬に関する薬学的管理・指導が薬局でも導入されたのは、病薬の成果がフィードバックされた例ではなかろうか。一般薬の販売に際し、そのリスクに応じた区分と販売体制を決めた、改正薬事法の考え方の反映ともとれる。
ハイリスク患者が“地域”へ移行せざるを得ない環境の中、開局薬剤師にも高いレベルの薬学的管理・指導の実施が期待されている。今後とも相互に業務内容を高め合っていくことが、新たな業務評価につながっていく可能性を示している。現場での積極的な対応を期待したい。
「調剤」に限らず、今回も大きな焦点の一つは後発品の使用促進だ。
病院においても「後発医薬品使用体制加算」が新設された。施設基準として、後発品が全採用医薬品の20%以上、薬剤部門において品質、安全性等の情報収集・評価し、薬事委員会等でその採用を決定する体制を整えていること――が条件となっている。
通常、薬事委員会で医薬品の選定をする際、薬剤部門が採用医薬品の選定に深く関わっている。未だ後発品に不信をもつ医師も少なくないが、歳出のカットと歳入向上につながるだけに、この加算取得には薬剤師の実力、部門長の指導力が問われることとなろう。