ヤンセンファーマは、多発性骨髄腫(MM)治療薬「ベルケイド注射用3mg」(一般名:ボルテゾミブ)を発売した〔写真〕。国内治験は34人と使用経験が少ない上、副作用として重篤な急性肺障害、間質性障害が懸念され、日本人での発現率が高いと疑われることから、当面は緊急対応が可能な約400施設に限定して納入するとしている。薬価は1バイアル16万8348円。
MMは血液癌の一種。日本の患者数は約1万3000人で、毎年約4000人がかかり、3000人が死亡している。新しい治療薬も10年以上、登場していなかった。
同剤は、国内外の治験で30%強の奏効率が得られている。海外では5万人以上に投与され、MMの標準治療薬として知られている。厚生労働省の未承認薬使用問題検討会議では、早急な承認申請が必要と判断され、優先審査の対象とされていた。
適応は「再発または難治性の多発性骨髄腫」。使用上の注意では、「一つの標準的な治療が無効または治療後に再発した患者を対象とし、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討した上で、本剤の投与を開始すること」としている。
用法用量は、「通常、成人に1日1回、ボルテゾミブとして1・3mg/m2(体表面積)を週2回、2週間(1、4、8、11日目)静脈内に投与した後、10日間休薬(12021日目)する。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。本剤は最低72時間空けて投与する」と定められている。
主な有害事象としては、骨髄抑制や消化器障害などが確認された。また、国内治験では急性肺障害1人の死亡例が報告されているほか、個人輸入による使用例でも急性肺障害が報告されている。
海外の発現率0・1%未満に比べ、日本人の発現率は高いと疑われることから、同社は納入先を限定すると共に、投与した全ての患者を対象にした使用成績調査を実施することにしている。