日本CRO協会の中村和男会長(シミック代表取締役会長兼社長)は2月25日、都内で開いた業績報告会で、二桁成長の牽引役だったモニタリング業務の減少傾向を受け、「新薬創出加算の試行導入によって、製薬企業は積極的に開発してくるだろう」との見方を示した上で、「今年はCROにとって大きなチャンス。モニタリング受注の潮目が変わるかもしれない」と、開発促進への期待を語った。
協会会員社の2009年業績は、モニタリング業務の落ち込みをデータマネジメント(DM)・統計業務でカバーし、二桁成長を維持する構図となったが、最大の売上を占める医薬品業務は、プロジェクト数、売上高ともに伸びを示した。
ただ、10年は成長鈍化が現実的になる見通しで、中村氏は「CROもいよいよ、成長率が10%前後の時代に入った」との認識を示す一方、「直近のプロジェクト数は増えてきている」と強調。「CRO協会として、力を確実につけてきているので、海外並みにアウトソーシング率が高まれば、成長は加速してくるのではないか」と述べた。
まだ国内のアウトソーシング率は20~25%とされるが、中村氏は「最終的には、海外並みにアウトソーシング率が50%を超えてくると、プロジェクトの一括受注が可能になる。そろそろ、こうした段階に入っていかないといけない」との見方を示した。
モニタリング業務の減少傾向については、「製薬企業のパイプラインに、大型品目が少ないことに加え、開発インセンティブも小さい」と要因を指摘。その上で、4月からスタートする新薬価制度に言及し、「新薬創出加算が試行導入される状況の中で、製薬企業は積極的に新薬開発を進めてくるだろう」と予測。「ドラッグラグ解消に向けた開発要請も合わせると、CROにとって大きなチャンスがある。今年は(減少傾向にある)モニタリング業務の潮目が変わるかもしれない」と開発促進への期待を語った。
ただ、「開発品目はアンメットニーズ領域が増え、かなり難しい領域に入っている」との認識を示し、今後アンメットニーズ領域への対応が必要とした。