日本CRO協会は2月25日、2009年の年次業績を発表した。総売上高は、前年比10・1%増と二桁の伸びを維持したが、成長率の鈍化傾向が明らかになった。売上増の内訳を見ると、CRO同士の合併、事業譲渡等が影響し、二桁成長の牽引役となってきたモニタリング業務の受注が大きく減少したが、データマネジメント(DM)・統計解析業務の増加で相殺した格好だ。特に売上の7割以上を占める医薬品業務は、引き続き受注プロジェクト数の伸びを確保した。
09年の会員総売上高は、1129億6300万円。領域別の割合は、医薬品が77・3%と大部分を占め、非臨床が9・3%、その他(EDC、医師主導臨床研究、生物学的同等性試験など)が8・9%となった。合併など業界再編の影響で、非臨床の割合が急増した。
業務別の割合では、これまで好調だったモニタリングが61・1%と減少に転じる一方、DM・統計解析が23・1%と増加するなど、モニタリングの受注減をDM・統計解析でカバーした。それがプロジェクトの受注数に映し出されており、モニタリングの割合が15・5%にとどまるのに対し、DM・統計解析は34・6%と、2倍以上のプロジェクト数を受注していることが分かった。
臨床試験のグローバル化に伴い、人件費の安いインド、中国など、アジアへのDM・統計解析業務の流出が懸念されていたが、逆に国内需要が高まっていることが裏付けられた。
また、医薬品関連プロジェクトのフェーズ別割合を調べたところでは、PIが13・0%、PIIが11・9%、PIIIが21・6%と、PIが大きくプロジェクト数を伸ばしていた。
10年の総売上高は、6・2%増の1200億円を予測し、快進撃を続けてきた業績の伸びは一桁成長にとどまる見通し。
5年平均で成長率12%‐大型受注が増加傾向
一方、同協会は、05~09年の業績推移も合わせて公表。総売上高は、5年間平均で12%強の成長率を達成した。その内訳によると、05~07年は約20%の高い伸びを示していたが、08~09年には約4・7%と、成長率の鈍化傾向が明らかになった。
また、医薬品業務売上高のフェーズ別割合では、PIとPIIIが増加傾向にあり、特にPIIIの大型プロジェクトの受注が本格化していることがうかる結果だった。実際、プロジェクト数は減少しているものの、売上高は増加していることから、同協会では「プロジェクトの大型化が進んでいる」と分析している。