文部科学省の「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」は1日、全国の薬科大学・薬学部を対象に、入学者数や卒業者数、専任教員数、実務実習費などを調査することを了承した。調査は、今後の議論を進める際の基礎資料とするために実施するもので、データは次回からの検討会で活用する。検討会での意見を踏まえ、調査票を作成、今月末までに大学に配布し、来月下旬に回収する。調査結果は、5月下旬をメドにまとめる予定。
文科省が提示した調査内容は、▽入学者選抜実施状況▽教育体制▽教育内容▽学費▽実務実習▽卒業者の状況▽卒業者の進路状況▽国家試験――の8項目。
入学者選抜実施状況では、受験者数や合格者数(2005~10年度)をはじめ、学力検査・試験合格者の総合得点に対する最低点、入学者の受け入れ方針などを調査する。教育体制では、専任教員の数や専任教員1人当たりの年間担当授業単位数、非常勤教員数なども調べる。
教育内容では、6年制と4年制それぞれの卒業単位数、実務実習の単位数、各科目の単位認定の方法などを調べる。
実務実習では、病院と薬局それぞれの参加予定学生数や、調整機構によって施設を確保した場合の実習経費の金額、国公立大学病院で実施する場合の実習経費を調査。また、費用の負担方法をめぐり、▽大学が全て負担▽学生が全て負担▽大学と学生の双方が負担▽大学と学生双方の負担なし――のいずれに該当するかも盛り込んだ。
竹中登一委員(アステラス製薬会長)は、営業や製造、研究開発など職種が多岐にわたる製薬企業では、職種によって求める学生像が異なるため、「製薬企業の人事にアンケートを出していただき、今後どのような人材を求めているのかを調べてほしい」と要望した。
倉田雅子委員(納得して医療を選ぶ会事務局長)は、今後ニーズが増す医療分野の一つとして在宅医療を挙げ、「現場で薬剤師にどのような活動をしてほしいか、訪問看護ステーションなどが求める人材像を明らかにしてもらいたい」と述べた。
薬学部・薬科大の定員数は、大学設置基準の緩和に伴い1万2000人を超えている。これまで委員からは、▽今の教員数と施設で十分な教育ができるのか▽就職先は確保できるのか--などの意見が相次いでおり、調査結果は、教育の質を担保するための適正な学生数や教員数などに影響を与えそうだ。