薬物動態踏まえた鑑査が容易に
ノアメディカルシステムが、自社レセコンに標準搭載している薬物動態学的セーフティマネージメントシステム「PHACOSAM」(ファコサム)は、調剤薬局の現場で、[1]TDM対象薬の血中濃度推移のシミュレーション[2]小児薬用量のチェック――を容易に行えるものだ。
有効血中濃度域が狭いTDM対象薬や、体重に応じた処方量が求められる小児薬は、過量投与が医療事故に直結してしまう。「PHACOSAM」を使えば、TDM対象薬が中毒域に達するかどうか、小児薬の投与量が推奨範囲内に収まっているかどうかを、容易にチェックできる。鑑査の支援ツールとして過量投与の見逃しなどを防げる。
「PHACOSAM」は、宮崎長一郎氏(宮崎薬局)、冨山直樹氏(城西国際大学薬学部)、松山賢治氏(近畿大学薬学部)、樋口駿氏(九州大学大学院薬学研究院)と同社が共同で開発。調剤薬局でもTDMの概念を活用できるようにしたのが特徴。
通常、病院で行うTDMでは、患者の採血をもとに薬物血中濃度を測定した上で、その推移を予測し、血中濃度が治療域に維持されるように、投与量や投与のタイミングが調整される。
薬局でも、採血こそできないが、多数の臨床データに基づいた日本人母集団薬物動態パラメータを活用すれば、その患者の血中濃度の変化を、ある程度は推定できる。
「PHACOSAM」はそれを実現した。同社のレセコン「NO@H FOR THE PHARMACY」の会計画面で起動する。身長、体重、血清クレアチニン値、併用薬の情報を入力すると、レセコンで入力済みの処方量、投与回数も踏まえて、血中濃度予測曲線を表示。中毒域に達するかどうかが判別できる。

血中濃度予測曲線が表示される
抗てんかん薬(フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、バルプロ酸、ゾニサミド)、循環器用薬(ジゴキシン)、抗精神病薬(リチウム)、喘息治療薬(テオフィリン)について評価を行える。
小児薬用量のチェックは抗生物質や解熱鎮痛剤の散剤が対象。患者の年齢や体重、身長などを入力すると、体重当たりの投与量を算出し、グラフで表示。推奨投与量の範囲内に収まっているかどうか、一目で理解できる。
ノアメディカルシステム
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