日本薬学会第130年会のシンポジウム「薬学教育新制度‐共用試験、第三者評価、薬剤師国家試験」で、薬学教育6年制課程における初めての薬学共用試験(CBT、OSCE)の実施結果が発表された。昨年12月から始まった本試験、追試験、再試験を約9400人が受験し、CBT、OSCEともに99%以上の学生が合格基準に到達した。大きなトラブルの発生はなく、無事に本番を終えることができたと報告された。
CBTの本試験は9398人が受験し、9209人(97・99%)が基準に到達。基準に達しなかった学生の再試験や、インフルエンザ罹患などによる追試験は合計191人が受験、130人が基準に到達した。これらの結果、本試験、追再試験の受験者9402人のうち基準到達者は9339人(99・33%)となった。
OSCEの本試験は9402人が受験し、9085人(96・63%)が基準に到達した。追試験と再試験は合計327人が受験し、326人が基準に到達した。これらの結果、本試験、追再試験の受験者9412人のうち基準到達者は9411人(99・99%)となった。
CBTは、約9000題に及ぶプール問題の中からコンピュータ上に、各学生ごとに異なった問題がランダムに合計310題出題される。正答率が60%以上で基準に到達したとみなされる。
薬学共用試験センター試験統括委員会委員長の奥直人氏(静岡県立大学薬学部)は、平均正答率が82・8%に達した今回のCBT本番の結果について、過去のトライアルと体験受験における平均正答率は60%前後だったため、「多少心配はしたが、非常に高い正答率を得た。8割の学生ができる問題を想定していたので、理想的な結果になった」と報告した。
各分野ごとの平均正答率はばらつくことなく、いずれも80%を超えた。CBTの問題は各学生ごとに異なるが、難易度のばらつきもほとんどなかったという。
CBTの今後の課題として奥氏は、0・5%未満とごく少数だが不適切な内容の問題があったとし、「次年度以降に備えて対策を講じる必要がある」と報告。プール問題も増やしたいとした。
一方、OSCEは、大学教員や現場の薬剤師が評価者となって、学生が行う調剤や服薬指導の実技を評価するもの。細目評価で評価者2人の平均点が70%以上、概略評価で評価者2人の合計点が5以上の場合、基準に到達したとみなされる。
薬学共用試験センターOSCE実施委員の吉富博則氏(福山大学薬学部)は、ほとんどの細目項目の実施率は90%以上に達し、「各項目の難易度に大きな差はなかった」と報告した。
OSCEの今後の課題として吉富氏は、評価者間で評価が一致しなかった項目が存在するとし、今後は評価一致率の向上を目指して「評価表や評価マニュアルを再検討したい」と説明。併行して「質の高い評価者や模擬患者を養成し続けなければならない」と語った。