厚生労働省医政局は、医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進を促す通知を、都道府県に発出した。薬剤師については、医師に対する処方提案、薬学的管理の実施など9業務を課題に挙げたほか、他職種からの相談に応じる体制を整える必要性を指摘した。
通知は、厚労省の「チーム医療の推進に関する検討会」が3月に取りまとめた報告書を踏まえ、各職種が現行制度の下で可能な業務の内容を整理し、今後の方向性を示している。
まず、チーム医療推進の基本的な考え方については、「目的と情報を共有した上で、医師等による包括的な指示を活用し、各医療スタッフの専門性に積極的に委ねると共に、医療スタッフ間の連携・補完を一層進めることが重要」と強調。
実際に推進する際には、医療機関の実情を十分に把握し、各業務の管理者と担当者の間で責任の所在を明確化し、連携や協力の方法を決定することで、快適な職場環境の形成や、効率的な業務運営の実施に努めるよう求めている。各医療スタッフの養成機関、職能団体、学会に対しては、チーム医療の前提となる知識や技術の向上、職種連携に関する教育や啓発を積極的に進めることに期待を寄せた。
その上で薬剤師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士、臨床工学技士それぞれについて、具体的な業務を例示している。
薬剤師については、高度化する薬物療法に、薬剤の専門家として主体的に参加することが「非常に有益」とする一方で、病棟や在宅で注射剤のミキシングや副作用チェックを、「医師や看護師が行っている場面も少なくない」と指摘。薬剤師を積極的に活用すべき領域として、次の業務を示した。
[1]プロトコールに基づいて医師等と協働で薬剤の種類、投与の量・方法・期間等の変更や検査オーダを実施
[2]薬剤選択、投与の量・方法・期間等を医師に処方提案
[3]在宅を含めた薬物療法患者に対する副作用把握や服薬指導等
[4]薬物血中濃度や副作用モニタリング等に基づく医師へ薬剤の変更等を提案
[5]薬物療法の経過等を確認した上で前回処方と同一内容の処方を医師に提案
[6]外来化学療法における医師との協働によるインフォームドコンセントと薬学的管理
[7]持参薬の確認と医師への服薬計画提案
[8]定期的な副作用確認のための分割調剤
[9]抗癌剤等の無菌調製