キョーリンは、2010~15年度までの6カ年中期経営計画「HOPE100-ステージ1」を発表した。子会社の杏林製薬が創業100周年となる23年を見据えた、長期ビジョン「HOPE100」の第一段階と位置づけ、中核となる医薬品事業を新薬群、特許の切れた先発品群、後発品群に区分し、複合的に展開。ヘルスケア事業の“多核化”を進めることで、年平均5%以上の成長を達成し、15年度には売上高1400億円、営業利益200億円を目指す。都内で会見した山下正弘社長は、「中心となる事業に集中し、多核化によって持続成長を考えていきたい」と語った。
新中計では、医薬品事業を中核とし、ヘルスケア事業の多核化を目指すマルチ・コア戦略を打ち出した。医薬品事業は、複合的な事業展開を推進。新薬群は、主力の気管支喘息治療剤「キプレス」、過活動膀胱治療剤「ウリトス」、14年上市を計画する気管支喘息配合剤「KRP‐108」を合わせ、売上高500億円を目指す。研究開発では、前中計で掲げたグローバル創薬システムの構築に課題を残したことから、プロセス改革に着手。さらに、欧州・米国の創薬拠点の機能を見直し、創薬ネットワークを再構築する。
また、特許が切れた先発品群は、去痰剤「ムコダイン」、潰瘍性大腸炎治療剤「ペンタサ」等のライフサイクルマネジメントを進め、09年度と横ばいの売上高500億円を維持。キョーリンリメディオの後発品群は、卸販売ルートを杏林製薬に統合。生産体制の最適化や原価率の低減を図ることで、09年度86億円の売上高を200億円に引き上げる。さらに、バイオ後続品に参入するため、他社との提携も検討する。山下氏は「外部との連携によって、スケールメリットが働く仕組みを作っていきたい」と述べた。
一方、ヘルスケア事業は、スキンケア事業でアジア展開を視野に入れると共に、医療用医薬品事業の周辺市場をターゲットに新規事業を創出し、売上高200億円を目指す方針。山下氏は「検査薬やデバイスなども含め、幅広く検討したい」との考えを示した。
長期ビジョン「HOPE100」では、16~19年度をステージ2、20~23年度をステージ3と位置づけ、ヘルスケア事業を多核的に展開する計画だ。特に医薬品事業では、ステージ2で耳鳴治療剤「KRP‐209」、免疫調整剤「KRP‐203」、さらに自社創製品の便秘・難治性掻痒治療剤「KRP‐110」の承認取得を目指す。最終年度の23年には、国際的な健康生活応援企業への進化を実現させたい考えだ。