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変形性関節症の原因分子発見‐根治治療の確立に期待

2010年5月26日 (水)

 変形性関節症(OA)の「病的な軟骨内骨化」現象の主な原因が、HIF2A蛋白質の発現亢進によって引き起こされていることが、東京大学病院の整形外科・脊椎外科の川口浩准教授らの研究グループによって突き止められた。HIF2AはNF‐κBの活性化によって誘導されることが見出されており、研究グループでは、このHIF2A/NF‐κBシグナルを治療標的とすることで、将来、OAの根治的治療法の確立につながる可能性があるとしている。

 OAは、四肢や脊椎の関節軟骨が摩耗し、関節周囲に骨棘ができる疾患。国内の有病者数は2000万人以上と推計され、高齢化の進行に伴って増加している。しかし、その治療法は対症療法のみで、根本的治療法はまだ確立されていない。

 東京大学病院では、整形外科・脊椎外科(中村耕三教授、川口浩准教授)が中心になり、2005年にOA の研究体制であるResearch on Osteoarthritis Against Disability(ROAD)スタディを樹立。今回の発見は、このROADスタディの学際的研究の成果。

 骨の発生は、いったん軟骨ができた後に、石灰化して骨に置き換わるという過程で作らる。骨の成長も同様で、軟骨が変性・破壊され、骨に置き換わり続けることで起き、「軟骨内骨化」といわれている。ただ、関節の中央部では血管侵入が届かないことから、軟骨内骨化することはない。にもかかわらず、OAでは「病的な軟骨内骨化」が起きていることを、研究グループでは報告している。

 HIF2Aは、この「病的な軟骨内骨化」の最初の現象となる軟骨細胞の肥大分化を誘導する分子のスクリーニングで見つかってきたもの。HIF2Aは低酸素誘導因子(HIF)ファミリーに属する転写因子。HIF1Aが細胞の低酸素状態に応答して、血管網形成などに働く種々の遺伝子の転写に働くのに対して、HIF2Aは酸素状態とは無関係に発現して、多彩な機能もあることが分かってきている。

 そのHIF2Aヘテロノックアウトマウスを作製し、膝関節に力学的負荷をかけてOAを誘発した結果、対照正常マウスに比べOAの進行が著明に抑制され、軟骨内骨化関連分子の発現も全て低下することが認められている。また、HIF2Aのプロモーターを用いた上流分子のスクリーニングを実施したところ、IL‐1、TNF‐αなどの炎症サイトカインで活性化されるNF‐κBが、HIF2Aを誘導することが分かった。

 研究グループでは、OA患者の手術摘出関節軟骨についても解析した。その結果、OAの進行に伴ってHIF2Aの発現が著明に亢進していた。さらに、OA患者(397人)と対照者(437人)のゲノム解析を行った。その結果、ヒトHIF2A遺伝子上に、OA発症と有意に相関している遺伝子多型(SNP)を発見。このSNPは、NF‐κBによるHIF2A誘導を介して、OAに関与していることも見出した。

 研究グループでは、「分子ターゲッティングという観点からは、細胞内転写因子であるHIF2Aよりも、細胞外因子である、炎症性サイトカインなどのNF‐κB シグナルの方が、直接の治療標的となりやすい」とし、今後、HIF2A/NF-κBシグナルを誘導する、具体的な細胞外分子の探索を行っていくことにしている。




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